【愛すべき日本の珍車と珍技術】世界最高燃費を目指した初代インサイトの技術に迫る!

【愛すべき日本の珍車と珍技術】世界最高燃費を目指した初代インサイトの技術に迫る!

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は「世界最高燃費」を目指して開発されたホンダの初代インサイトについて紹介していこう。

文/フォッケウルフ、写真/ホンダ

■35km/Lを達成した究極の燃費スペシャルカー

 世界初の量産ハイブリッド乗用車として、トヨタ・プリウスが発表されたのが1997年10月。「21世紀に間に合いました。」というキャッチコピーとともに、20世紀の終わりに次世代の自動車像を示し、歴史にその名を刻んだ。そんなプリウスに真っ向から勝負を挑んだクルマがある。

 「パワーユニットの高効率化」「空力性能の追求」「車体の軽量化」という、3つの技術テーマを柱に開発され、35km/L(10・15モード燃費)という量産ガソリン車として世界最高の“超”低燃費を達成した、ホンダ・インサイト(初代モデル)である。

CR-Xを思わせるスポーティなスタイルの3ドアハッチバックが斬新だった
CR-Xを思わせるスポーティなスタイルの3ドアハッチバックが斬新だった

 デビューはプリウスから2年遅れの1999年11月。先行するプリウスが燃費と環境性能を追求しつつも、普段使いをおろそかにしていなかったのに対し、インサイトは徹頭徹尾「燃費世界一」を目標に開発されていた。

 元来ホンダ車といえば、「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」が重視されていた。しかし、初代インサイトは大胆にもMM思想を度外視したような作りが随所に散見される。車内のスペースはタイトで乗車定員は2名。荷室スペースはメカニズムの搭載を優先して床の位置が高めに設定されている。標準装備の内容も必要最低限に留められている。

 ボディサイズは全長3940mm、全幅が1695mm、全高は1355mmというコンパクトカーに近い寸法とし、空力性能を最優先に基本形状を設計したスタイリングは、類似するクルマが存在しなかったこともあって、強烈なインパクトを与えたことを言うまでもない。

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