【昭和の花形チューニング】ターボタイマー&ボルトオンターボはもはや過去の遺産なのか

【昭和の花形チューニング】ターボタイマー&ボルトオンターボはもはや過去の遺産なのか

 ひと昔前、ターボ車といえば高性能の証。豪華装備とハイスペックを両立したトップグレードや性能重視のスポーツグレードなどに設定されていた。その性能を、さらに引き出すブーストアップなどのターボチューニングも大流行。 

 さらにNAエンジンに、ターボチャージャーを追加するボルトオンターボという後付けターボエンジンを仕上げるなど、ターボエンジンは、クルマ好きにとって特別な存在であった。

 しかし、現在、ダウンサイズターボなどの低燃費とパワーの両立を図ったエコターボの登場により、輸入車を中心にターボエンジンは、当たり前のものに。

 かつて、そんなターボ車の存在を際立たせてきたターボ車必須アイテムとされたのが「ターボタイマー」だ。ご存知のように、普及が広がったターボ車だが、あの頃のように積極的に搭載されている感覚が薄いのが正直なところ。

 またチューニングカー自体も以前よりも減ってきた印象を受ける。そこで「ターボタイマー」と「ボルトオンターボ」の今に迫ってみた。

文:大音安弘/写真:NISSAN、SUBARU、HKS


ターボ車にはアフターアイドルが必要!?

 ターボタイマーとは、イグニッションOFF後に、一定時間アイドリングを行わせる装置だ。クルマ好きの常識のひとつとして、ターボ車の場合、ターボチャージャーを労わるために、高負荷運転後はアフターアイドルが必要とされてきた。

 ただ昨今のターボ車でアフターアイドルをしているケースはあまり見られない。そこで最新型ターボ車でも、同様なのか調べてみた。例えば、日産ジュークの説明書には、ターボ車の扱い方として、以下のように明記されている。

日産ジュークのターボモデル、16GT FOURの取扱説明書には、走行状態を4パターンで分類し、アフターアイドリングが必要か不要かと、アイドリング時間が明記されている

・市街地・郊外などの一般走行:アイドリング必要なし
・高速走行(約80㎞/h定速):アイドリング約30秒
・高速走行(約100㎞/h定速):アイドリング約1分
・急な登坂路の連続走行:アイドリング約2分

 つまりアフターアイドルが必要というわけだ。

 いっぽうで、高性能ターボエンジンを搭載する日産GT-Rの説明書には、このような記載はなく、スバルWRX STI/S4に関しても同様。現在も車種や仕様により取り扱いが異なるようだ。

日本車のターボエンジンで最大のパワーを誇るGT-R NISMO。3.8L、V6ツインターボは660ps/66.5kgmのスペックだが、アフターアイドリングの記載なし
WRX STIに搭載される2L、水平対向4気筒DOHCツインスクロールターボは308ps/43.0kgmをマークするが、GT-R同様アフターアイドリングにはノータッチ

 そこでターボタイマーも販売しているチューニングパーツメーカー「HKS」に問い合わせてみると、「一般的にターボ車では、高負荷状態の走行を行った後、例えばサーキット走行や高速道路、長い登坂路の走行直後はすぐにエンジンを切らず一定時間のアフターアイドルを行ったほうがいいだろう」とのこと。

 現在、HKSでは、10世代目となる「ターボタイマー」を発売中。最新機種は、顧客の要望に応え、アフターアイドル時間のみを設定できるシンプルなものだ。

HKSが現在販売しているターボタイマーは10世代目で35年の歴史から生まれた操作性重視のシンプルモデルだ。価格は9800円(税抜き)と手頃感がある

 取り付け方法について、調べてみると現代ターボ車で普及していない原因のひとつが浮き彫りに……。

 従来のキーシリンダー式のものは、汎用ハーネスで取り付け可能な場合が多いが、今流行のプッシュスターター付き車は、専用ハーネスを設定しているもの以外だと不可なのだ。プッシュスターターの場合、単にプッシュボタンに割り込ませるだけでなく、車両側制御との連動する必要があるためだ。

 適合表を確認すると、HKSでは、軽ターボ車やスバル車なら、取り付け可能なケースが多いようだ。

 つまりターボ車といえども、ターボタイマーの装着自体が、困難となっているのが現状なのである。

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