西荻窪に「名古屋中華」の原点あり! 台湾ラーメンのスープが炒飯のうま味を引き立てる魅惑のチャーラー【チャーハン+ラーメン】

西荻窪に「名古屋中華」の原点あり! 台湾ラーメンのスープが炒飯のうま味を引き立てる魅惑のチャーラー【チャーハン+ラーメン】

 チャーハンとラーメンのセット、略して「チャーラー」。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまないのが、現地在住でベストカーの姉妹メディア「おとなの週末」のライター・永谷正樹氏。地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーを永谷氏がご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」を「おとなの週末Web」にて連載中だ。今回はついに東京上陸! ですが、食べたのは「名古屋中華」。本場中国と日本の町中華が合わさった独自の味で楽しむチャーラーとは!?

取材・撮影/永谷正樹

名古屋中華の原点は日本と中国、ふたりの料理人による合作

店の前には台湾ラーメンと書かれた看板が。名古屋人としてはうれしい限り
店の前には台湾ラーメンと書かれた看板が。名古屋人としてはうれしい限り

 約2年半ぶりに東京へ行ってきた。撮影の仕事だったが、せっかく行くのならチャーラーの旅がしたいと思い、自腹で余分に1泊することに。で、『おとなの週末』編集部のEにも声をかけてふたりで旅を楽しむことにした。

 JR中央線西荻窪駅で待ち合わせをして、そこからバスに乗り「桃井四丁目」停留所で下車。徒歩1分くらいの場所にあるのが、今回の旅の目的地である『龍美(りゅうみ) 東京一号店』である。

 店に着くなり、「ナガヤさん、ここ、台湾ラーメンがありますよ! しかも、“元祖名古屋中華”ですって!」と、編集Eはテンション高めに言った。

 東京には私のホームである名古屋よりもチャーラーのおいしい店はいくらでもあるし、名店と呼ばれる店もある。にもかかわらず、ここを選んだのは理由がある。『龍美』は名古屋にも7店舗あり、「元祖名古屋中華」をテーマに掲げているのだ。

 「名古屋中華は、私の父、蔡洪涛(さい こうとう)と、名古屋駅の近くにある『中国料理 千龍』の創業者、渡邊長生さんが手を組み、1990年代初頭に誕生しました。名古屋中華というコトバは私が後からつけたものですが」と、語るのは『龍美』グループのオーナー、斎藤隼さんだ。

 1990年代初頭、名古屋市千種区覚王山にあった中華料理店『眞弓苑』で当時料理長を務めていた渡邊長生さんと中国のホテル出身の料理人、蔡洪涛さんが出会い、蔡さんは本場中国の味を、渡邊さんは日本人が好む町中華の味を互いに教え合い親交を深めた。

『龍美 東京一号店』外観。名古屋出身の人や転勤などで以前に名古屋で暮らしていた人もよく来るという
『龍美 東京一号店』外観。名古屋出身の人や転勤などで以前に名古屋で暮らしていた人もよく来るという

 さらにふたりは名古屋の喫茶店のモーニングサービスをヒントに、割安な夜のセットメニューを考案した。今でも名古屋の中華料理店でよく見かける生ビールに料理2品が付く「生ビールセット」や、ご飯ものと麺類の「麺飯セット」、ボリューム満点の「定食」がそれだ。

 話を聞いていた編集Eが口を開いた。

 「言われてみれば、東京の中華は単品メニューが中心ですね。でも、地方へ行けばセットメニューのある店も多いのでは? 他にも名古屋中華の特徴はありますか?」

 名古屋中華最大の特徴が、店の看板にあった「台湾ラーメン」をはじめ、青菜炒めや台湾手羽先などニンニクと唐辛子で味付けしたピリ辛のメニューである。

 もちろん、それらは名古屋・今池に本店がある台湾料理『味仙(みせん)』が発祥であるのは間違いないが、名古屋市内の中華料理店は台湾ラーメンをこぞってメニューに採り入れたのだ。

 「父と渡邊さんは何度も『味仙』さんを訪れて味を研究したと聞いています。それで『眞弓苑』でも台湾ラーメンを出していたそうです。『龍美』の台湾ラーメンも父のレシピをベースに作っています」(斎藤さん)

チャーラーの炒飯はやや薄味がベター

 店に着いたのは、ちょうどお昼時。ランチのメニューを見ると、「選べる麺・飯セット」(1100円)に台湾ラーメンもあった。筆者は台湾ラーメンと炒飯、編集Eは醤油ラーメンと炒飯を注文することに。

「選べる麺・飯セット」は、とんこつラーメンや担々麺、天津飯など好みに合わせて組み合わせが楽しめる
「選べる麺・飯セット」は、とんこつラーメンや担々麺、天津飯など好みに合わせて組み合わせが楽しめる

 10分ほど経ち、まずは炒飯が運ばれた。あれれ? 名古屋の『龍美』で食べたときは炒飯もラーメンもしっかりと1人前の量があったような気がするが……。

 「当初は名古屋と同じ量の炒飯を出していたのですが、残される方が多くてハーフサイズにしました。本来、食べきれないほどの料理を客に出すというのが、中国のおもてなし文化ですけどね」と、斎藤さん。

 食べきれないほどの料理を完食する名古屋人はまるで大メシ喰らいみたいじゃないかぁ(笑)。まぁ、SDGsの観点から食べ残しによる食品ロスを出さないことも重要だからね。

 さて、肝心なのは味だ。写真を見てもらうとわかると思うが、お米の一粒ひと粒に油がムラなくコーティングされている。炒飯にレンゲを入れると、こんもりとした山がパラパラっと崩れていく。炒めの技術は相当なものだと思う。

炒飯。米の一粒ひと粒に油がムラなくコーティングされている
炒飯。米の一粒ひと粒に油がムラなくコーティングされている

 口に入れると、塩とコショウだけではない複雑な味わいがふわっと広がる。具材は刻みチャーシューとネギ、卵とシンプルだが、なかなか家ではこの味が出せないんだよなぁ。

 味は濃いか薄いかといえば、やや薄め。炒飯だけ食べるとやや物足りなさを感じるものの、麺類とのセットゆえにむしろ薄めの方がよいのだ。

 そうこうしているうちに台湾ラーメンも運ばれた。中央にピリ辛の台湾ミンチ。その周囲にはニラという名古屋人の筆者にとって見慣れたビジュアル。

 台湾ラーメンの作り方は店によってさまざまで、台湾ミンチをスープとともに煮込んでいる店もあるし、ニンニクと唐辛子とともに炒めた豚ミンチとニラ、モヤシをのせる店もある。

「台湾ラーメン」。たっぷりの台湾ミンチが味の決め手
「台湾ラーメン」。たっぷりの台湾ミンチが味の決め手

 『龍美』の場合、醤油ラーメンに台湾ミンチとニラをトッピングしている。それだけで味が劇的に変わるのである。スープに豚肉の旨みとニンニク、ニラのコクがスープにジワーッと染みわたるのだ。

次ページは : ■炒飯を別物に生まれ変わらせるスープの魔力

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