EVのF1になれるか 丸の内を疾走したフォーミュラEの可能性

EVのF1になれるか  丸の内を疾走したフォーミュラEの可能性

 2016年末、フォーミュラEが丸の内をデモ走行した。

 フォーミュラEといえば“EVのF1”といったイメージはあるものの、どんなマシンが走っていて、レベルはどの程度か、などその実情はまだ浸透していないのが現実だろう。

 では、そんなフォーミュラEがこれから大化けする可能性はあるのか? 日本開催の可能性も含め占う。

 文:ベストカー編集部、WEBベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、Renault、Jaguar
ベストカー2017年1月10日号


大都会のど真ん中を駆ける“静寂”のマシン

 フォーミュラEが走行したのは、東京駅にほど近い丸ビルの裏手にある丸の内仲通り。

 東京の公道をフォーミュラEのマシンが走行したのは、2016年8月のけやき坂(六本木)に続いて2回目となる。

 持ち込まれたマシンは、最新シーズン仕様のABTシェフラー アウディスポーツFE02。ドライバーは元F1ドライバーで、2016年までアウディからWEC(世界耐久選手権)に参戦をしていたルーカス・ディ・グラッシが担当した。

 デモ走行は、丸の内仲通りの2ブロック(約250m)を3度往復し行われた。

 仲通りは石畳の道路のためタイヤのグリップが悪く、0-100km/h加速2.9秒という高出力モーターを搭載するフォーミュラEマシンでは、少しでもアクセルを踏み込むとすぐにホイールスピンを起こし、路面にブラックマークが残すような状態だった。

 豪快なホイールスピンによって発生したタイヤの焦げるニオイやスキール音以外、F1のようなエキゾーストノートがなく、大都会でもレースが行えるくらい静かであることが、あまりモータースポーツに接したことのない人たちにも感じてもらえたことだろう。

 走行を終えたディ・グラッシが、「近い将来、デモンストレーションではなく、レースのために東京に戻って来られることを楽しみにしている」と語ったように、関係者としては日本でのフォーミュラE開催の思いを込めてのイベントだったと思われる。

デモ走行の後、ファンにお辞儀をするディ・グラッシ。「爆音」や「ガソリンの匂い」といった今までのモータスポーツ像とかけ離れたフォーミュラEの世界に約5000人の観衆が魅了された
デモ走行の後、ファンにお辞儀をするディ・グラッシ。「爆音」や「ガソリンの匂い」といった今までのモータスポーツ像とかけ離れたフォーミュラEの世界に約5000人の観衆が魅了された

そもそもフォーミュラEって何?

 さて、日本でデモランを行ったものの、まだマイナーな感は否めないフォーミュラE。現在の概要は次のようになっている。

■参戦メーカー

 現在、フォーミュラEにはルノー、BMW、アウディ、シトロエンDSなどが参戦中。このうち、ジャガーは、日本のパナソニックと組み、『パナソニック・ジャガーレーシング』としてエントリーしている。

■マシン性能

 シャシーはダラーラ製、バッテリーはウィリアムズ製でともにワンメイク。2シーズン目の2015/2016シーズンから、モーターなど一部にかぎり、独自に開発したパワートレーンの搭載が可能となった。

 タイヤはワンメイクで、ミシュラン製18インチタイヤを全チームが装着する。動力性能は以下のとおり。

フォーミュラEマシンの動力性能

  • ・最高出力:200kw(約274ps)
  • ・レースモード出力:133kw(約182ps)
  • ・0-100km/h加速:2.9秒
  • ・最高速度:225km/h
写真は左が丸の内を走ったアウディのマシンで、右は昨シーズンのチャンピオンチーム、ルノーe.ダムスのマシン。
写真は左が丸の内を走ったアウディのマシンで、右は昨シーズンのチャンピオンチーム、ルノーe.ダムスのマシン。

次ページは : フォーミュラEがF1に並ぶ可能性はあるのか?

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