レッドブル・ホンダピンチ! 同点で最終戦! ここまで差をつけられたワケとは?

■レッドブル・ホンダは高回転域をできるだけ使うギリギリのセッティング

 もう少し具体的に分析して見れば、レッドブルはエンジンパワーと回生を重視して、高速コーナーの連続は凄まじく速く、減速時は若干高回転のダウンシフト、ハミルトンよりも下のギアまで落とし、加速時には各段を引っ張る、つまりハミルトンよりも高回転を維持する使い方がされている。

 減速時、高回転数の維持はそのままエンジンブレーキの使い方と回生量の増加に繋がる。その回生電力を加速時に出力して効果的な加速とトップスピードを得る努力がなされたようだ。メルセデスのブラジル・エンジンに対抗する手段ということなのだろうか。したがってレッドブルは、高回転域を使う事でセッティングは結構ギリギリの領域にまできているのではないだろうか。

サウジGP予選Q3のラストアタックでルイスにコンマ4秒差をつけていたが、最終コーナーでクラッシュ! 万事休す
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 ではメルセデスは? メルセデスの弱点はレッドブル程にはダウンフォースの制御がままならないこと。話題の動く(!?)リアサスペンションやしなるウィング疑惑等は、その制御が苦手なはずなのに余りにも見事に解決したからに他ならない。

 リアサスペンションの稼働量と稼働スピードがこれまでのメルセデスと違うことを疑るのは、もちろん他のチームではなく、道理を理解できないメディアなどの話で、現実にはセッティングでいくらでも動きの制御は出来るのだ。

 そして中低速の速さはエンジンパワーと電力出力/回生効率が優れていることで、多少ドラッグが増しても大きいダウンフォースを発生するウィングを使えば可能なことなのだ。ブラジル・エンジンのハイパワー化でそのゆとりが出来たということなのだろう。

■はたしてマックス・フェルスタッペンは王者になれるのだろうか?

サウジGPでは焦りが出ていたフェルスタッペン。クルマは速いはずだがレース終盤ルイスについていけなかった。シリーズチャンプに赤信号が……
サウジGPでは焦りが出ていたフェルスタッペン。クルマは速いはずだがレース終盤ルイスについていけなかった。シリーズチャンプに赤信号が……

 こう考えると最終戦、背伸び一杯のレッドブル・ホンダのフェルスタッペンとごく僅かアドバンテージを持つメルセデスのハミルトン。予選でのハプニング等が無ければ、ほんの僅かだけハミルトンに分がありそうなのだが、レースは水物、そんな予想は過去にどれだけ覆されてきた事か……。

TETSU ENTERPRISE CO, LTD.
TETSUO TSUGAWA

【画像ギャラリー】最終戦直前のサウジアラビアGP、白熱するチャンピオン争いを写真で振り返る!(6枚)画像ギャラリー

津川哲夫
 1949年生まれ、東京都出身。1976年に日本初開催となった富士スピードウェイでのF1を観戦。そして、F1メカニックを志し、単身渡英。
 1978年にはサーティスのメカニックとなり、以後数々のチームを渡り歩いた。ベネトン在籍時代の1990年をもってF1メカニックを引退。日本人F1メカニックのパイオニアとして道を切り開いた。
 F1メカニック引退後は、F1ジャーナリストに転身。各種メディアを通じてF1の魅力を発信している。ブログ「哲じいの車輪くらぶ」、 YouTubeチャンネル「津川哲夫のF1グランプリボーイズ」などがある。
・ブログ「哲じいの車輪くらぶ」はこちら
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