ホンダF1 優勝はマグレか実力か!? レース否定派に出した“ホンダらしさ”の答え

F1どうなの?という人「いやぁ、いますよ」

――優勝に対するホンダ社内の反響はどうですか?

山本 やはり、勝つと何となく空気感が違います。

――「F1どうなの?」という人、いませんか?

山本 いやぁ、いますよ。モータースポーツこそホンダのDNAだと思っているし、会社にはそういう空気もたくさんあるけれど、ある意味(F1は)お金が出ていくのは明快だけど、儲けるというプロセスがないじゃないですか。

 これはもう、目に見えないブランディングなので。HONDAを知ってもらう。そのためにやっているし、勝つとメディアの皆さんが取り上げてくれる。これを増やすことと「ホンダってこんな面白い企業なんだ」、「こんな凄いことやっているんだ」ということを、一人でも多くの人に伝えていきたい。

 「頑張れ!」という人と「お前、いまビジネス大変だろ!」という人も、そりゃいますよね。だけど、モータースポーツやることでホンダが力強くビジネスができるようになるよね、というところを強力に(見せて)、手を握り合っていきたいと思っていて、そういう活動もやってきているので、それを広げていくしかないですよね。

――やはり今回の優勝は、社内的なアピールにも繋がった?

山本 もちろん、繋がっていると思うし、ニュースでも取り上げてもらえている。それを今まで(F1を)見なかった人が、少し気づいて、「こういう活用法できるかな」と思ってもらえると嬉しいですよね。

軽自動車からF1の開発者に!? “ホンダらしさ”とF1の関係

オーストリアGP後すぐに日本へ帰国したという山本雅史MD。2016年にモータースポーツ部長に就任し、2019年4月からは「F1専任」となる現職を務めている

――“ホンダらしさ”を考えるうえで、本業の市販車とF1との関わりをどう考えていますか?

山本 いまF1のPUを作っている浅木は、この前まで軽を作っていた人間ですから。軽は軽で、軽自動車として最大限満足するための車作りをするわけじゃないですか。

 そういうプロセス・思考が、今回「F1で勝つために」と命題が変わったなかで、彼はそこに挑み、良いジャッジをしたからこそ、この1~2年で方向性が変わって今のPUになっていると思っています。

――軽のN-BOXで日本一になって、F1も勝てば世界最速、かたやタイプRでニュルや筑波で最速を目指したりと、そういうバカみたいに1位を目指すことがホンダらしさかなと思うのですが(笑)。

山本 個人的には僕もそう思いますよ。一等賞ってこだわりだし、わかりやすいし、人に伝わりやすいじゃないですか。

 ホンダって楽しいとか面白いとか「ホンダの車、ちょっと見てみようかな」という第一歩を踏み出すようなきっかけをたくさん作りたいなと思っています。

――そのなかの一番わかりやすい活動としてF1もあると。

山本 世界の頂点になるというのは、普通にやったのではなれない。何か違ったエッセンスを入れたり、人がやっている先回りをしたり、違ったことをやったり……だから、僕は今回の勝利は、ホンダっぽかったと思っています。

――ありがとうございました。

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