私たちの暮らしを守り、職人の仕事を支えるハイエース。日本の屋台骨ともいえるクルマが、トヨタ販売店で次々と受注停止になっているという。H200系ハイエースは、2024年8月で、登場から丸20年を迎えるだけに代替わりへの期待も高まる。今回の受注停止の理由は何なのか、販売現場を取材した。
文:佐々木亘/写真:トヨタ
■6月末には全国でオーダーストップ?
本稿執筆時点(2023年6月14日現在)で、メーカーサイドから受注停止の情報は流れていない。トヨタのホームページでも、ハイエースの工場出荷目途は注文から6か月以上(6月6日時点)となっており、これだけを見れば現在も注文可能な車種となっている。
しかしながら販売現場に行くと、地域販社ごとにハイエース販売の対応が変化しつつある。
グレードや使用によって注文の可否がわかれており、概ね注文できなくなっていたのはスーパーGL(ガソリン・ディーゼル)だ。販売可能台数が極少となっているのがワゴンの全モデルと、バンのガソリンモデル。ディーゼルのDXは仕様によってだが、まだある程度の余裕がある。
現在保有する配車枠を使い切ると、次のオーダーが入れられない状態でおおよそのトヨタ販社が、6月中には配車枠を全て使い切るだろう。オーダーストップが公表される時期は近い。
■オーダーストップの理由はモデルチェンジか?
工場出荷目途が6カ月程度となっていたハイエースだが、トヨタディーラーの営業マンによると、4月頃から納期が長くなっているのを感じていたという。半年かからず到着していたハイエースが、春先から納期が6か月、7か月と遅れ始めたようだ。
加えて考慮に入れておきたいのが、前回のH200系の改良時期である。直近で改良がおこなわれたのは2022年4月の一部改良。内容としてはパーキングサポートブレーキの標準装備とディーゼル車の燃費改善が主なものだ。
2020年・2021年・2022年と3年連続で、4月から5月にかけて一部改良を繰り返してきたわけだが、今年は改良が行われなかった。
こうした事実が何を物語るのか。そろそろ新型ハイエースの登場を期待したいところだが、今回のオーダーストップとフルモデルチェンジの関連は非常に薄いと筆者は考える。
また、複数のトヨタディーラーで営業マンに話を聞いたが、オーダーストップをフルモデルチェンジの予兆と捉えた人はゼロであり、全ての営業マンが一部改良前のオーダーストップを予想していた。
期待していたフルモデルチェンジではないのが少し残念。少し遅れた年次改良が行われ、H200系はまだまだ現役で日本を支えていく。
■気になる改良時期とその内容は?
改良に関してはメーカーからの発表はもちろんなく、トヨタディーラーにも情報は入っていない。現在決まっているのは、2023年12月末で現行のハイエースが最終生産を迎える予定ということだけだ。改良後のハイエースは、2024年から生産がスタートするのだろう。
2020年から2022年までに、あらかたの法規対応は済ませたハイエース。CAFÉ規制に対応した燃費向上、車外騒音Phase2法規やエアコン新冷媒法規にも既に対応済みだ。さらに予防安全パッケージも既に導入済みでToyota Safety Senseとパーキングサポートブレーキは標準装備されている。(Toyota Safety Senseはレスオプションが残っている)
となると、今回の一部改良の目玉は、商品力強化がメインになりそうだ。
内容はまだ不明だが、筆者としては、全車にレーダークルーズコントロールを標準装備してほしいところ。ハイエースは物流の要も担う重要な存在だ。長距離を走る大型トラックにも装着が進むレーダークルーズコントロールは、ハイエースにも必須の装備である。今回の改良で搭載されることを切に願う。
さらに、ハイエースの乗用使用も増えている中で、スーパーGLの装備拡充も期待したい。ガソリン標準ボディの特別仕様車登場は可能性が高いと思う。
現在も販売を続けるスーパーGL‘‘DARK PRIME Ⅱ’‘が登場したのは2018年8月だ。同時期にはハイエース誕生50周年記念のスーパーGL‘‘50TH ANNIVERSARY LIMITED’‘も発売している。
あれから5年が経過したから、今度は55周年記念車の登場もありそう。スーパーGLの特別仕様車に関しては、夢が膨らむばかりだ。
今回のオーダーストップは、ハイエースは順調に販売を重ね、改良予定までにバックオーダーが捌けなくなることを予見したもの。これは至極当然の流れと言えるだろう。それにしても、まだ改良を続けられるH200系ハイエースの潜在能力には、ただただ感服ばかりだ。
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