9月20日~25日まで、世界最大の商用車ショー「IAA Transportation 2022」がいよいよ開催される。
19日のプレスディの前夜には、世界各国のメディアを集めてダイムラートラックがプレゼンテーションを行なう恒例の「ダイムラートラック・メディアナイト」が開催された。
そこで見せたものは、世界の商用車のリーディングカンパニーとしてまさに「力わざ」とでもいうべき、圧倒的なダイムラートラックの電動化への傾斜だ。
BEV(バッテリー電動車両)では苦手とされていた長距離トラックでも電動化を推進。ヨーロッパやアメリカなど他のトラックメーカーでもこの傾向が加速している。
日本では、商用車の電動化に懐疑的な向きもあり、確かにその考えに一理あるのも事実だが、では、地球温暖化対策・CO2削減という至上命題に対して何か有効な対抗策があるかといえば、甚だ心許ないことも確かだろう。
ここは商用車の世界の中心。世界が長足に進歩を遂げる中で、排ガス・燃費の認証試験の不正が発覚し生産・販売までままならない日本の(かつての)リーディングカンパニーの体たらくを思うと、いたたまれないほどの焦燥感にかられるのも、また事実である。
とまれ、ここは世界最大の商用車ショーの前夜祭。後ろ向きな話より前向きな話に転じよう!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」
航続距離500kmの長距離用大型トラック「eアクトロスLongHaul」を発表
ダイムラートラックは、完全にCO2ニュートラルな輸送を実現するという目標を掲げているが、ドイツ、ハノーバーで開催される「IAA Transportation 2022」(以下、IAA)では、電気自動車の幅広いポートフォリオを発表することで目標を明確に示した。
メディアナイトで明らかにされたのは、IAAでは長距離輸送用の電気大型トラックのメルセデス・ベンツブランド「eアクトロスLongHaul」を初めて一般公開するということ。
すでに9月18日の記者会見で同電気大型トラックの試作車を公開したが、量産型の「eアクトロス LongHaul」は、1回の充電で約500kmの走行が可能で、メガワット級の充電も可能になる。量産開始は2024年の予定だ。
IAAでは、さらに革新的な製品を発表する。大型トラックでの柔軟な物流輸送を可能にするメルセデス・ベンツブランドの電気大型トラック「eアクトロス 300」(トラクタ仕様)である。
また、中型トラックセグメント向けにメルセデス・ベンツブランドの電気中型トラック「eアテーゴ」も発表。また、三菱ふそうブランドの電気小型トラック「eCanter」次世代モデルを発表する。
2030年までに最大60%の電動車両の販売を目指す
ダイムラートラックは、走行時にCO2ニュートラルな商用車を、EU30か国の車両販売において2030年までに全体の最大60%を占めるよう電動化を推進することを高らかに謳った。
ダイムラートラックのマーティン・ダウム代表は「4年前のIAA以来、私たちはCO2ニュートラル輸送へのシフトを全力で進めてきました。今年、私たちはすでに8台の量産型電気車両を展開しています。しかし、適切な車両を提供するだけでは充分ではありません。お客様には、適切なインフラも必要となります。それを踏まえて、私たちはさまざまなレベルで積極的に動いています。迅速に環境を整えるためには、業界全体と政府が協力することが不可欠なのです」と述べた。
また、ダイムラー・トラック・アジアのカールデッペン代表は、「FUSOブランドは、商用車の電動化においてフロントランナーです。5年前に電気小型トラック eキャンターを発売して以来、私たちは日常的に商用車を運転されるお客様から多くの経験や貴重なご意見をいただいてきました。eキャンター次世代モデルでは、幅広い用途に対応したオーダーメイドの車両を提供します。次のステップでは、製品ポートフォリオを拡張し、大規模量産を開始することで、未来に向けて持続可能な輸送をリードし続けていきます」と述べている。
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