走行中じゃなくてもバーストは起こりうる!? 商用車タイヤのサービスマンがその実態を解説!

空気充填中のバースト

 タイヤは、充填空気圧がゼロではバーストしません。ある程度空気圧が残ってる場合にその圧力に構造材等が負けて破裂、バーストします。

 我々タイヤ屋がバーストに遭遇する時は、パンク箇所確認のため空気充填中にバースト、あるいはパンク修理後のエア充填中に起こるバーストです。

 トラック・バス用タイヤの標準規定空気圧は高くて900kpaくらいですが、パンク箇所特定のためのエア充填の時もパンク修理後のエア充填の時も規定空気圧まで入ることはなく、比較的低圧の約300kpa付近でバーストすることが多いです。

 「規定空気圧900kpaで300kpaくらいならそんなに危なくないんじゃね?」と思われそうですが威力はハンパないです。

 現在は、空気充填の講習や空気充填時にはパンク修理後のタイヤもちろん、新品のタイヤまで安全囲いに入れての充填を徹底しております。

 以前は安全囲いに入れるどころか、タイヤの上に乗っかって充填したり、安全囲いの中に入れずに安全囲いに立てかけてエア充填をしてたり、パンク箇所特定のためにエアを充填する場合も、損傷度合いもわからないのに高圧充填してたりと、安全を度外視した作業が多かったため、業界中で年間数件は重大事故が発生しておりました。

 このほとんどがパンクによるタイヤへの損傷確認不足からの高圧充填、そして教育、指導不足でした。

バーストの原因の一例

トレッドがはがれ、『モップ』のようになったタイヤ。パンクによる低内圧からのバーストの可能性が高い
トレッドがはがれ、『モップ』のようになったタイヤ。パンクによる低内圧からのバーストの可能性が高い

 画像はバーストしたタイヤの一例です。

 トレッド部分が剥がれ、全体的にタイヤサイド部分が損傷しております。冒頭のSNSの記事のようにモップのように見えますね。

 このようにトレッド部分がキレイに剥がれると、「タイヤの不良品かな?」と思われるかもしれませんが、この場合のバーストの原因はパンクによる低内圧走行でのタイヤ損傷によるバーストです。

 チューブレスタイヤの長所である異物を踏み抜いてもエアはすぐに漏れることはなく、ある程度エアが入っていれば安全な場所まで自走し、そこでスペアやパンク修理が可能ですが、この「ある程度」がネックでして、低圧になっても走れてしまうのでこれが仇となる場合が多々あります。

 低圧のまま走行を続けてしまうと、タイヤサイド部分が想定以上にたわみ、変形を繰り返されるため、内部の骨格である部材が疲労してしまい、通常なら規定圧でも問題なく耐えられる強度が低下し、低内圧でも耐えられなくなり破裂という結果です。

タイヤサイドの一部分だけ吹き抜けたバースト
タイヤサイドの一部分だけ吹き抜けたバースト

 続いてサイドカットによるバーストです。これはトレッド部分に異物を踏んでのパンクではなく、鋭利なモノがタイヤサイドを貫通して内部の構造材まで損傷し、そこから一気に内圧が抜けて傷が拡大されバーストに至った感じです。

 裂けた部分の中央付近に一箇所だけ土汚れがあります。ここから鋭利なモノが入り、えぐってると思います。

 この傷の周りの内部構造のワイヤーが切られたような切断面であるのに対し、傷の端付近は千切れたような切れ方となっています。これはカットした傷からのエア吹き抜けに耐えられずバーストに至った感じです。

【画像ギャラリー】タイヤへのダメージ蓄積は要注意!! バーストしたタイヤの例をギャラリーでチェック(8枚)画像ギャラリー

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