長年乗ってきた愛車を手放す(買い替える)際に使用するのが、ディーラーの下取りや買取店だろう。どちらもクルマを売却するわけだが、厳密にいうと少し仕組みが異なっている。それぞれの特徴を知っておくと、愛車の売却が有利に行えるはずだ。
そこで、本稿ではディーラー下取りと買取店、どういう場合にどちらが得する選択肢なのかを考えていく。
文:佐々木 亘
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■ディーラー下取りは新車商談の武器になる
下取りの最も大きな特徴は、新しく購入したクルマの納車と引き換えに愛車を手放すという点に尽きる。ユーザーには、購入と売却がワンストップで行えるのが強みだ。
買取店と比べると、査定額が低く出るというイメージがあるが、それは必然でもある。買取店は、査定を依頼した今日、その日の買取り金額を提示するのに対し、ディーラー下取りは、クルマを引き取る日(つまり新車納車の日)を見越して査定額を提示する。
例えば納車まで3か月かかるクルマを注文した場合には、3か月後の予想買取額が査定額としてディーラーでは、提示されるのだ。実際、3か月後に買取店へ足を運び、査定額を聞けば、3か月前のディーラー下取りとほとんど変わらない金額を提示されることも多い。
また、下取り車両に値段が付きにくくてもあきらめてはいけない。ディーラーの場合、新しく買うクルマの「値引き」が、下取り査定額に乗っかってくることがある。本来は注文書上の値引き欄に記載するものなのだが、諸事情により記載できないケースでは、下取り査定額に、値引き額を上乗せすることがあるのだ。
下取り車は、営業マンが値引きをする手段になるため、商談を優位に進めるためには、持っておきたい武器でもある。
面倒な手続きは少ないほうが良い、無駄な時間はかけたくないというユーザーは、下取りを利用するのがベストだろう。まず下取りを前提に商談を進める方が、何かとお得になることが多い。
■社外パーツもしっかりと評価する買取店
鮮度の高い「今」の状態を見てくれるのが買取店だ。その時の市場動向をしっかりと反映させるとともに、査定額が引き取り手側の影響を受けにくいという強みがある。
例えば、愛車がメーカー純正パーツ以外でカスタマイズされているケースでは、圧倒的に買取専門店の方が、査定額は高い。基本的にディーラーでは、純正状態に限りなく近い状態で再販する(中古車として売る)形になるため、社外パーツの評価は低く、査定額に反映されにくいのだ。そればかりか、マイナス評価となるケースもある。
しかし、買取店であれば、社外パーツを取り付けたまま再販するため、人気ブランドのパーツでは、査定金額にプラスの反映が期待できるのだ。
社外エアロ、社外アルミ、社外オーディオといった基本パーツはもちろんだが、スポーツバケットシートや補強パーツ、マフラーやエアクリーナーなどの吸排気系パーツを交換している場合などは、買取店を積極的に利用したい。
下取りよりも手間はかかるが、相応の評価が返ってくる。カスタマイズが好きなユーザーは部品外しをせずに、そのまま買取店に見せるのが一番手間のかからない、良い方法だろう。
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