輸入車が安い。近年の低価格化もあり、2017年度の輸入車登録台数は30万2929台と、10年前の2007年度比で34.3%増と大幅にアップしている。なかでもメジャーで販売台数も多い輸入車といえばドイツ勢。VW、ベンツ、BMWの3大メーカーで今、最も「買い」のモデルはどれか。3台の有力候補車からベストな1台をセレクトするので、車選びの参考にしてほしい。
文:松田秀士、石川真禧照、国沢光宏
写真:編集部、BMW、Daimler
ベストカー 2018年5月10日号
BMWで今、最も買いの1台は?
■BMWの候補車 3選
・BMW 118d(389万円)
・BMW X3 20i(639万円)
・BMW 523i(635万円)
BMW 1シリーズという車は、超スーパー贅沢コンパクトカーなのだ。
どうしてかというと、このクラスのコンパクトカーはスペースユーティリティを最優先し、みな横置きエンジンのFF(前輪駆動)になってしまったから。
エンジンとトランスミッションを横置きにすることで、エンジンルーム長を短く設計でき、そのぶんキャビンを長くすることができるわけで、そのためFFがコンパクトカーの主流となっている。
そんななかで1シリーズはエンジンの縦置きを貫きとおした。これは日本の武士道に共通する考え方(大げさ? ただの頑固者だったりして)。
では、エンジンを縦置きにする理由はフロントエンジン車の場合、重いトランスミッションが、エンジンの後に接続されるので車体の中心に重量物を配置することができ、前後重量配分が理想に近づきハンドリングがスポーティになるからだ。
しかし、そのぶん室内が狭くなる。室内スペースを犠牲にしてでもハンドリングを優先したい、そんな武士道にも共通するBMWのポリシーが1シリーズを作り続けた。が、ここにきてBMWは武士道を捨て1シリーズのFF化をすでに中国から始めた。
118dは重量のかさむクリーンディーゼルエンジンを縦置きに配置し、その後方には8速ATを接続する。ディーゼルエンジンのかぎられた実用回転域。しかし強大なトルク。そこをマルチギアでスムーズかつ力強く加速させる。
しかもFR(=後輪駆動)なので、アクセルで後輪荷重をコントロールし、ステアリング操作とコラボして、狙ったコーナーラインをトレースする。こんな楽しく贅沢なモデル、コンパクトクラスではこれが最後に違いない。
【松田秀士】
VWで今、最も買いの1台は?
■VWの候補車 3選
・ポロ TSIハイライン(265万円)
・ティグアン TSIハイライン(439.9万円)
・アルテオン Rライン 4MOTION(549万円)
今や一番お勧め車選びに苦労するのがフォルクスワーゲン(VW)である。というのも自分は新車を買うなら自動ブレーキ性能を重視します。
当然ながら友人や知人にも「買うなら優れた自動ブレーキ付きの車にしたほうがいい」とアドバイスする。
読者だって同じ、友人にすすめない車を読者に推奨するなどという無責任なことはしたくない。という観点でVWを見るとどうか?
現在、VW車で自動ブレーキ性能を推測できるのは、ユーロNキャップ(欧州の公的な試験)に試験結果を公開しているアルテオンとティグアン、ポロの3車種のみ。というか、それ以外は旧式の自動ブレーキを採用しているため、見るべきモノはないと考えていい。
VWグループジャパンも止まれる数字を発表していない。ただ、上記の3車種を広報部に問い合わせたら「欧州仕様と同じです」。
繰り返すが、日本の試験結果でもないし、VWグループジャパンは公式/非公式に(大半のメーカーはメディア相手に野球でいう打率みたいな情報を教えてくれる)数字を公表しているワケでもなし。信用ベースの推測ということになる。
ということで、お勧めできるVW車は自動的に3車種に絞られます。性能レベルは日本車の平均値をイメージしていただければよかろう。
この3車種のうち、アルテオンはVWらしくないデザインが新鮮だが、少しばかり高価だし、リセールバリューも心配。ティグアンはコストパフォーマンスが高いが突出した魅力に欠ける。
ということで鉄板車をポロにさせていただく。この価格帯の輸入車のなかでは最も手堅く、車のデキがよい。耐久性で不安のあるツインクラッチながら、ポロのパワーなら問題なかろう。
【国沢光宏】
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