2018年6月22日、ついについにトヨタの、いや日本の最高級車であるセンチュリーがフルモデルチェンジを実施した。
1967年に初代が誕生(創業者である豊田佐吉氏の生誕百周年を記念して発売された)して以来、1997年に2代目へとチェンジ。2018年まで生産され、今回3代目として21年ぶりに新型センチュリーが登場する。
メーカー希望小売価格1960万円(税込み)、月販目標台数50台(多くの部品が手作りなのでこれ以上作れない)。
約2000万円という高額な車両本体価格だが、今どきこれだけ多くの部品を手作りしているモデルは、もちろんいくらたくさん注文が入っても儲かるものではない。ではなぜトヨタはセンチュリーを作り続けているのか。それはもちろんイメージ戦略、取り引き先としての上顧客との関係構築、そしてなにより「技術の継承」があるからだ。
なにもかも桁違いな新型センチュリーについて、以下、その概要を紹介したい。
文:ベストカーWeb編集部
■V12を廃止してV8ハイブリッドに進化
先代型となるGZG5型は、国産車史上初となる(そしておそらく最後となる)V型12気筒、5Lエンジンを搭載していた。既存の2.5L、直6エンジン(1GZ-FE)を2セットつなげて12気筒とし、「トラブルで片バンクが死んでも走り続けられる」という特殊構造を持っていたが、新型のエンジンはこの方式を廃止(残念)。
新型センチュリーに搭載されるパワーユニットは、先代型レクサスLSに搭載されていた2UR-FSE。5L、V型8気筒エンジンにモーターが組み合わされ、システム出力は431馬力を叩き出す。JC08モード燃費は13.6km/L。
もちろん最新で最高級の安全装備「トヨタセーフティセンス」を標準装備しており、さらに隣り車線の死角を走る車両を検知する「ブラインドスポットモニター」、しゅ右辺状況を検知して駐車支援する「パーキングサポートアラート」も採用している。
■凄すぎてよくわからない!!
ボディサイドのキャラクターラインには「几帳面」と呼ばれる、平安時代の屏障具(へいしょうぐ)の柱にあしらわれた面処理の技法を採用。
フロントグリル真ん中の「鳳凰」エンブレムは、工匠が金型を約1カ月半かけて手で彫り込み、さらにそのエンブレムを彩る縦格子のフロントグリル奥に「七宝文様」を配置。前後二重構造にすることで「品位ある華」を表現した。
新規開発色のエターナルブラック「神威」は、漆黒感を高める黒染料入りのカラークリアなど7層もの塗装に、研ぎと磨きを加えて奥深い艶と輝きを追求。日本の伝統工芸の漆塗りを参考に、流水の中で微細な凹凸を修正する「水研ぎ」を3回実施し、さらにその後、一点のくもりも残さないよう「鏡面仕上げ」を施している。
先代仕様より65mm延長したホイールベースを後席スペースの拡大にあてており、乗員の膝まわりや足元にさらなる「ゆとり」を提供。さらに後席のスカッフプレートとフロアの段差を従来型より15mm縮小することにより、フロアマット装着時にはフラットとなり、さらに乗り降りしやすくなっている。
……と、ここまでセンチュリーの豪華装備の一部をありのまま紹介したが、正直いって、凄すぎてどこが凄いのかいまいちよくわからない。
ただただめちゃくちゃ手間がかかっており、このクルマを作るために職人を育て、次世代へ技術を受け継いでゆくのだという気合いはひしひしと感じる。
この技術はもはや「伝統芸能」と言ってよく、この手間暇こそトヨタは次世代に受け継ぐべき技術だと考えており、だからこそセンチュリーを作り続けているわけだ。
新型センチュリー、とにかく一度でいいから乗ってみたいです。トヨタさん、試乗させてください。後席だけでいいですから。というか、後席がいいです。
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