ルノーのコンパクトな5ドアハッチバック、4代目ルーテシアに自動車評論家 渡辺陽一郎氏が試乗。その楽しさは、ひょっとしたらもうすぐ登場の新型フィットの上をいく!? ライバルとなるVWポロとも比較!(本稿は「ベストカー」2013年9月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:渡辺陽一郎/写真:平野 学
■ダイレクトな操舵感は街中でも楽しい!
コンパクトな5ドアハッチバックだが新型の全高は先代(3代目)よりも40mm低い1445mm。全長は70mm伸びて4095mm、全幅は30mm広がり1750mmだ。
前後のフェンダーにボリューム感があり、ホイールベースも2600mmに達するから、ボディの四隅に4輪が踏ん張って見える。
ボディ後端のピラーが太く、後方視界はよくないが外観はカッコイイ。
運転席はシートのサイズに余裕があり、肩までしっかりとサポートする。座面も適度に柔軟で座り心地は上質だ。
天井が低いために開放感は乏しいが、身長170cmのドライバーが座って頭上には握りコブシが1つ収まる。後席はホイールベースが長い割に足元は狭い。
試乗したのは最上級のインテンス。
最大トルクはノーマルエンジンの2Lに匹敵する19.4kgm。しかも2000回転で発揮されて発進直後から力強い。
ATはデュアルクラッチ式の6速EDCで、機敏な加速感を味わえた。
操舵感はステアリングの支持剛性が高く、小さな舵角から正確に反応する。ギヤ比も先代型より9%クイックになり、ダイレクトな操舵感は街中でも楽しい。
乗り心地はインテンスが17インチを履くので少し硬い。
16インチのほうがバランスはいいが、大きな段差を乗り越えた時の突き上げ感は意外に小さい。路面をつかむ力は充分にあり、後輪の接地性を確保した上で自然に曲がる設定とした。
ライバルのVWポロはハンドルを切り始めた時の反応がルーテシアより鈍い。高速時の扱いやすさを考え、VW車は全般的におとなしい。
旋回に入っても後輪の安定性が重視され、ルーテシアより少し曲がりにくい。乗り心地はポロが若干有利。
前席の居住性は全高が30mm高いポロが快適。腰の支え方もポロは硬めで長距離移動に適するが、肩まわりのサポート性はルーテシアが勝る。
後席はホイールベースが130mmも短いのにポロが快適。足元空間は同等だが、座面の長さに余裕があり、大腿部も離れにくい。
以上のように、4名で移動するためのツールとしてはポロが使いやすい。運転の楽しさなど、趣味性を求めるユーザーにはルーテシアが適する。
■ルノー ルーテシアインテンス 主要諸元
・全長:4095mm
・全幅:1750mm
・全高:1445mm
・ホイールベース:2600mm
・エンジン:直4DOHCターボ
・総排気量:1197cc
・最高出力:120ps/4900rpm
・最大トルク:19.4kgm/2000rpm
・トランスミッション:6速EDC
・タイヤ:205/45R17
・価格:238万円
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