1990年代、ホンダの技術力を世に知らしめた伝説の一台であるS2000が登場した。生まれながらのスポーツの天才であり、エンジン、ミッション、サスペンションはもちろん、ボディ骨格まで含めすべてが専用の新設計で作られた。そんなモンスターマシンと「ドリキン」でお馴染みの土屋圭市氏がなんと再会した!!
※本稿は2024年9月のものです
文:ベストカー編集部/写真:大西靖、ホンダ ほか
初出:『ベストカー』2024年10月26日号
■「9000rpmの音を聞きたくて低いギアで走っちゃうよ!」
ホンダが1999年に送り出したのがS2000だ。S800以来のFRで、しかもオープン。2LエンジンはNAで250ps、22.2kgmを発揮する。
「新車試乗会行ったの、ついこないだのような気がするのに、もう25年も前なんだね~。とにかく衝撃的だったのをよく覚えている。
ホンダとしては経験があまりないFRでしょ? しかもオープンボディだから、まあ、風を感じて気持ちよく走るタイプのクルマだろう……と甘く見ていたら、これがまったく違ったからね。
当時、ベストモータリングのツクババトルでも2Lクラス最速。サーキットを本気で攻め込んでも、ボディはミシリとも言わない。剛性の塊のような車体で、タイヤがガシッと接地するんだよ。とにかくコーナリングのレベルが段違い」と、土屋さんはS2000デビュー当時の衝撃を振り返る。
「このS2000もコンディションがメチャいい! いまだにボディ剛性は当時と変わらずガチっとしていてキツめのコーナリングをしてもタイヤがしっかりと接地してくれるから、ビタっと吸い付いたような安定したハンドリングなんだよね。コーナリングのレベルがもの凄く高いんだよね」とS2000の走りを評価する。
「エンジンがまた凄い。レッドゾーンは9000rpmだよ!? よくこんなエンジンを作って市販車に載せたもんだよ。
作らせた川本さん(※当時のホンダ社長)も凄いけど、本当に作っちゃった開発陣も凄い。走らせるとエンジンがもっと回せ! もっと回せ! と言ってくる。9000rpmの音を聞きたくて、低いギアで走っちゃうよね。
6速MTもストロークが短くてカチッと決まるから、シフトが楽しい。ロードスターやビートが風を楽しむオープンカーなのとは対照的に、徹底的に速さを求めたスポーツカーなんだよね、S2000は」という土屋さんは、25年前、S2000が市販されるとすぐに買ったという。
「338万円は超お買い得だったと思う。よく、その価格で販売できたよね?」。
●主要諸元
・全長:4135mm
・全幅:1750mm
・全高:1285mm
・ホイールベース:2400mm
・最小回転半径:5.4m
・車両重量:1240kg
・エンジン:直列4気筒DOHC
・総排気量:1997cc
・最高出力:250ps/8300rpm
・最大トルク:22.2kgm/7500rpm
・トランスミッション:6速MT
・10・15モード燃費:12.0km/L
・Fサスペンション:ダブルウィッシュボーン
・Rサスペンション:ダブルウィッシュボーン
・タイヤサイズ:F:205/55R16 R:225/50R16
・車両価格(当時):338万円
コメント
コメントの使い方この頃のホンダ車は輝いていました。
この頃の日本も輝いていた気がします。
我々庶民への近さも含めたら、最高の車の一つだと思っています。
本当に奇跡の様な存在だからこそ、エスニとNSX(R限定)に肩並べるレベルのホンダ車がずっと出てこない、というジレンマも抱えているんですよね