信号のない横断歩道に近づくと、自転車に乗った人が渡ろうとしている。そんな場面で「止まるべきなのか? そのまま進んでいいのか?」と迷った経験があるドライバーは少なくないだろう。そこで今回は、道路交通法に基づき、横断歩道と自転車の関係について整理してみたい。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真=beeboys@Adobe Stock)
横断歩道で自転車が待っていたら譲るべき? 降りて押すと歩行者扱い?
信号のない横断歩道に近づいたとき、最も重要なのは「歩行者がいるかどうか」である。道路交通法38条では、横断歩道を横断しようとする歩行者がいる場合、クルマは一時停止して通行を妨げてはならないと定められている。
一方、自転車は道路交通法上「軽車両」であり、基本的には歩行者ではない。そのため、横断歩道の前で自転車に乗ったまま待っている人がいた場合、法律上は歩行者と同じ扱いにはならない。
SNSなどでは「横断歩道で待っている自転車にも必ず止まらなければ違反になる」といった説明を見かけることがあるが、必ずしもそうではないのである。
ただし、ここで注意したいのは現実の交通状況だ。
自転車利用者の中には、そのまま横断歩道へ進入する人も少なくない。ドライバーが「自転車だから優先ではない」と判断して進行した結果、接触事故になれば重大な責任問題となる。法律上の優先関係と、安全運転上の判断は必ずしも一致しないのだ。
では、自転車から降りて押している場合はどうなるのか。こちらは明確である。道路交通法では、自転車を降りて押して歩いている人は歩行者として扱われる。
つまり、横断歩道の前で自転車を押して待っている人がいれば、クルマには歩行者と同じ停止義務が発生する。ドライバー目線で考えれば、「乗っているか」「押しているか」が大きな分かれ目になるわけだ。
例外的に自転車で横断できることも
自転車は原則として車道通行だが、例外的に歩道を通行できるケースがある。代表的なのが13歳未満の子どもと70歳以上の高齢者である。
道路交通法では、これらの人は普通自転車で歩道を通行できるとされている。また、「普通自転車歩道通行可」の標識がある場合なども歩道通行が認められる。
では、そのまま横断歩道を自転車で渡ってよいのだろうか。
実際には歩道を走行してきた自転車が横断歩道を利用して道路を横断するケースは珍しくない。しかし、ここで重要なのは「歩道を通行できること」と「横断歩道で歩行者と同じ優先権を持つこと」は別問題だという点である。
ここで誤解されやすいのが、子どもや高齢者が乗る自転車の扱いである。道路交通法では13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者は、例外的に歩道を自転車で通行することが認められている。しかし、自転車に乗っている以上はあくまで「軽車両」であり、歩行者になるわけではない。
そのため、横断歩道の前で13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者が自転車に乗ったまま待っていたとしても、歩行者に対するものと同じ停止義務が自動的に発生するわけではない。
一方、道路交通法でいう「小児用の自転車」に該当する幼児用自転車などは歩行者として扱われる。このため、6歳未満の幼児が乗る小児用自転車で横断歩道を通行しようとしている場合は、歩行者と同様に保護される対象となる。
つまり、ドライバーが停止義務を負うかどうかのポイントは「子どもか高齢者か」ではなく、「歩行者として扱われる小児用の自転車なのか、それとも軽車両である自転車なのか」である。
要するに横断歩道で自動車などに停止義務が発生するケースとして考えやすいのは、6歳未満の幼児が利用する小児用自転車の場合だ。
一方で、13歳未満や70歳以上の人が普通自転車に乗ったまま横断歩道を利用することは認められていても、歩行者と同じ優先権が与えられているわけではない。
もっとも、法律上の優先関係と安全運転上の判断は別問題である。特に子どもや高齢者が運転する自転車は動きが予測しにくく、突然進路を変えたり、そのまま横断歩道へ進入したりすることも少なくない。
法的な優先関係だけに目を向けるのではなく、「飛び出してくるかもしれない」と予測しながら運転することが事故防止につながるのである。


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