2024年が終焉を迎える頃、突然、日産、ホンダの経営統合、三菱自動車の参画という「3社協業形態」の可能性が発表されたことが大きな話題となった。これで大きな自動車メーカーグループが誕生するわけだが、なぜ自動車メーカーは共闘するのか? 今回はグループ化のメリットなどを考えていきたい。
文/長谷川 敦、写真/スズキ、トヨタ、日産、フォルクスワーゲン、ホンダ、ランボルギーニ、Groupe PSA Japan、写真AC、CarWp.com
【画像ギャラリー】共闘が奏功? それとも…(13枚)画像ギャラリー■増加する自動車メーカーのグループ化
現在は世界各国の自動車メーカーが経営統合を行う、あるいは開発を共同で進めるケースが増えている。
当然ながらその共闘の仕方もさまざまで、あるケースでは大きな力を持つメーカーが小さなメーカーを吸収し、別のケースでは同じような力関係のメーカー同士がグループを組む。
これはグループ化によるメリットが大きいことが理由であり、そのメリットの内容もやはりメーカーによって異なる。
内容の違いはあれどメリットが大きいからこそ、すでに十分な力を持つメーカーであっても、他メーカーと共闘したり、別のメーカーを吸収合併したりするのである。
そして各メーカーが共闘して巨大なグループができると、それに対抗するために別のメーカーが新たなグループを作る。
では、そのメリットとはいったいどのようなものなのだろうか?
【画像ギャラリー】共闘が奏功? それとも…(13枚)画像ギャラリー■グループ化によるメリットはこんなにある
ここからはグループ化によって何がもたらされるのかを具体的に考えていこう。
●資本面の強化
各メーカーにはそれぞれ資本があるが、もちろんそれには限りがある。
そこで他メーカーと共闘することで資本を合計すれば、その額はシンプルに増える。
●開発技術面のメリット
自動車メーカーは基本的に自社で製品の開発を行い、メーカーによって得意なジャンルと不得手にしているジャンルがある。
例えばA社はハイブリッドの動力開発に強く、B社は高い車体設計技術を持っているなど。
だったらA社とB社が共闘してお互いのノウハウを共有すれば、それは双方にとってメリットになる。
現在では同じグループではない複数のメーカーが技術協力を行うこともあるが、同一グループであればより技術交流がスムーズになるのはいうまでもないだろう。
●製造面のメリット
一般的な公道車は基本的な骨格ともいうべきプラットフォームを持っているが、メーカーをまたいでプラットフォームを共用できるようになれば、製造の利便性とコストの両面で恩恵が得られる。
さらに同じグループのメーカーが持つ工場での生産を行える可能性があり、これまで進出していなかった地域でも自社のクルマを作って販売することもできる。
もちろんこれはクルマ全体ではなくパーツ単位で考えても同じ。
複数のクルマで共通パーツの使用量が多くなれば、それをひとつの工場で製造してグループ内メーカーに供給を行える。
ハードウェアだけでなく、自社とは異なる製造方式が別のメーカーの参考になることも考えられる。
●販売上のメリット
今までに進出していなかった地域にグループ内の他メーカーの販売網が形成されていれば、それを利用して自社のクルマを販売することも可能になる。
実際にこうしたケースは過去にもあり、A社のディーラーでB社のクルマも販売するなどという事例も普通に見られた。
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