■デメリットだってある! 自動車メーカーのグループ化
物事にはメリットがあればデメリットもある。この項では自動車メーカーがグループになることによって生じるデメリットを考える。
●メーカーの個性が薄れる
自動車メーカーには長い歴史で培ってきたそれぞれの個性がある。
だからこそ顧客には自分の好きなメーカーがあり、それも判断基準のひとつにして購入するクルマを選ぶのである
しかし、グループ化によって技術の交流が生まれ、プラットフォームの共用などが始まると、当然の結果として各メーカーのクルマは似通ったものになってしまう。
また、グループ化は経営の効率アップも狙っているため、あまり人気がなくても、メーカーのポリシーによって製造が続けられていた個性的なクルマの販売が終了してしまうという事態も考えられる。
もちろん、そうならないように努力するメーカーもあるが、これまでは自社だけの判断で行っていた開発&販売計画が、グループ全体の意向に沿うものに変更する必要があるかもしれない。
実際、グループ化によってそれまでの尖った個性を失ってしまった車種もある。
●社風が合わずにケンカ別れも
グループを組むことによって、ある種の巨大な自動車メーカーが誕生するわけだが、そこはかつてライバルとして競っていた会社同士なだけあって、すべての考えが一致することはまずない。
経営方針や開発の方向性など、グループ内であつれきが起これば、それが最終的にグループ崩壊を招く危険性もある。
過去にはこうしてケンカ別れした例もあり、グループ化が良いことばかりではないのがわかる。
●グループ内格差が広がる?
メーカーによって売り上げや従業員数などの規模は異なり、通常は規模が大きく業績もあげているメーカーがグループ内で優位に立つ。
さらにグループ化で効率が上がったことにより、もともと強かったメーカーがさらにその立場を揺るぎないものにすることも考えられる。
もちろん規模の小さいメーカーがグループ化で救われるケースも多いが、本来は子会社化ではなく共闘のはずなのに、結果として子会社のようになってしまうメーカーもある。
【画像ギャラリー】共闘が奏功? それとも…(13枚)画像ギャラリー■実際のところどうなの? グループ化の成否を考える
最後は、これまでにグループ化を行ったメーカーがどのような結果になったのか見ていこう。
グループ化が失敗に終わったのが日本のスズキとドイツのフォルクスワーゲン(VW)。
2009年に両社は提携を発表し、当初は対等の関係とされていたが、実際には規模の大きいVWがスズキを子会社化しようとして、これに反発したスズキが提携解消を申し出た。
スズキの申し出に対してVWは賠償金を要求し、2016年に国際商業会議所国際仲裁裁判所の仲裁によって和解が成立した。
もうひとつの有名な失敗例がドイツのダイムラー(現メルセデスベンツ)とアメリカ・クライスラーの合併だ。
1998年に行われたクライスラーとダイムラーの合併だが、あまりに社風の違う両社がうまくいくはずもなく、クライスラーの業績はかえって悪化し、従業員の大量離脱も招いてしまった。
結局この合併は10年を待たずに破綻を迎えている。
現在、巨大な自動車メーカーグループが林立していることは、それらの共闘が基本的にはうまくいっていることを示している。
先に発表された日産、ホンダ、三菱自動車の提携が成功になるのかは現状では判断できない。
ただし、社風の大きく異なる日産とホンダがスムーズに提携できるのかを懸念する声も多い。
日本の自動車業界を大きく変える可能性も高いこの“3社協業”が、今後どのような経緯をたどっていくのかを見守りたい。
【画像ギャラリー】共闘が奏功? それとも…(13枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方今の日産の車台(プラットフォ-ム)はルノ-の払い下げ。そしてキャラバンのディゼルE/Gは三菱から。エクストレイルは、三菱トライトンと共有。ホンダさんよメリット無いよ