2024年12月末、現行スイフトスポーツの特別仕様車「ZC33S Final Edition」が発表され、2025年1月に開催された東京オートサロンの会場でその姿が公開された。辛口で知られているレーシングドライバーの中谷明彦氏も、スイフトスポーツは高く評価している1台。その理由と、次期型への期待についてぶっちゃけ!!
文:中谷明彦/写真:ベストカーWeb編集部
■欧州仕込みなのも納得
これまでスズキの車を高く評価することは多くなかった。
昔のフロンテ・クーペは抜群だったが、バブル以降のコストダウンを徹底した車造り、特にフロントサスペンションのスタビライザーすら省いてしまう割り切りの良さに感心しつつも走りを高く評価できなかったのが正直なところだ。
そんな印象を見事に払拭してくれたのが、現行型のスイフト・スポーツ(ZC33S型)だ。2017に登場した時、あまり多くを期待せずに試乗したところ、あまりの走りの良さに驚かされた。
車体剛性が高く、軽量で軽快。それでいて質感が高く、精度の高い回転部の摺動感が感じ取れた。一体これはどんなマジックを施されているのか。早速開発エンジニアにインタビューを行った。
その時のエンジニアの得意満面な顔が忘れられない。待ってましたとばかりに事細かに解説してくれたのだ。
「実はこのスイフト・スポーツは開発ベースを欧州で行いました」と。なるほど、欧州品質なわけだ。これで疑問の8割方は汲み取ることができた。
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パーツで見ると、まずホイールがベースのスイフトが4穴であるのに対し、5穴にグレードアップされている。さらにフロントのディスクブレーキ径は15位インチから16インチにサイズアップされている。
そのセンターに位置するハブもサイズアップされ剛性を向上させているのが見て取れる。ディスクローターやブレーキパッド(ユーリット)も欧州仕込みであり、高温下でもブレーキペダルストロークを少ないまま安定させ、踏力変化も小さい。
サスペンションはというと、フロントダンパーは筒系が明らかに太く、中身はモンロー社製のツインチューブ方式。それにスタビライザーをしっかり装着させている。
リアサスペンションは専用のトーションビームを欧州で起こし、捻りの高特性でスタビライザー効果も得ていた。これらを3ナンバー化することを厭わず40ミリ拡幅した車体に納めているのだ。
加えてトランスミッションはクロスレシオ化された6速マニュアルで多用する3速はダブルコーンシンクロとして耐久性を高めている。このトランスミッション、操作性が良く、カチっとしたシフトフィールで非常に好感が持てる。
エンジンは1.4Lに排気量は落としつつも、直噴化と高応答なターボチャージャーを装着し、最高出力103kwを5500回転で発揮させる。最大トルクは230N・mを2500〜3500回転で引き出せる。
これでわずか940kgという1トンに満たない軽量な車体を走らせるのだから、その走りに納得できるわけである。
コンパクトスポーツの中では出色の出来で、その走りは楽しく、小気味よく、スズキの真髄を示してくれたと感じさせられたのだった。
そんなスイフト・スポーツ(ZC33S型)の登場からすでに8年の歳月が経った。スイフトのベースモデルは2023年にフルモデルチェンジを受けている。
スイフト・スポーツも2025年には新型が登場する予定とのことだが、現行型の拘りのある造り込みが継承されていることを願うのみだ。
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