トヨタといえば、多くの人から支持を得られる落ち着いた雰囲気のクルマが多い。だが少しだけ時代を遡れば、トヨタにも異端と言われる尖ったクルマがいくつもあった。いい子が並ぶ現在のラインナップでは考えられない、異端のトヨタモデルを振り返っていこう!
文:佐々木 亘/写真:トヨタ
【画像ギャラリー】確かにFJクルーザーのデザインいいな!! トヨタから登場した異端児3台をギャラリーでチェック(22枚)画像ギャラリー■トヨタが作ったマジで遊べるクルマ:FJクルーザー
2006年に北米でデビューしたFJクルーザー。当初は日本で販売される予定が無かったクルマだが、逆輸入から人気に火が付き、2010年12月から日本国内での販売がスタートしている。
丸目のヘッドライトは歴代のランドクルーザーシリーズを彷彿とさせ、観音開きになる左右ドアも特徴的だった。フロントワイパーは3本で、太すぎるシフトノブやデカすぎるエアコンダイヤルやドアハンドルは、厚手のグローブの着用を想定したものになっており、オフロードを走って本気で泥だらけにするためのクルマである。
オフロード走行に優位な骨格は、オンロードでは少し厳しく、決して乗り心地の良いクルマではなかったが、コアなファンから長い間支持されたモデルだ。
ランクルよりももっとタフに。トヨタが作った本気の遊び車が、FJクルーザーなのである。
【画像ギャラリー】確かにFJクルーザーのデザインいいな!! トヨタから登場した異端児3台をギャラリーでチェック(22枚)画像ギャラリー■ショートプレミアムという新ジャンルを開拓した者:ブレイド
国内専用車として販売されていたブレイドは、ショートプレミアムを掲げ、VWのゴルフをターゲットに開発されたクルマだ。足回りは前後ともにダブルウィッシュボーン式、心臓部に3.5LのV6エンジンを載せる「マスター」というグレードも展開する。
最終型には、レクサスIS Fにも搭載されたSPDSを採用する走りに重きを置いたクルマだった。これで駆動方式はFFというのだから面白い。
余裕の走りに高い静粛性を組み合わせ、室内の質感も高く、しっかりと高級車然としていたブレイド。ただ、パッケージングに対して様々な要素を詰め込みすぎた感もあり、どっちつかずになってしまったクルマでもある。
胸のすくような加速感があるのだが、ホットハッチとも少し違う。心臓部と足のミスマッチが、ブレイドを王道ではなく尖ったクルマにしてしまったのかもしれない。
【画像ギャラリー】確かにFJクルーザーのデザインいいな!! トヨタから登場した異端児3台をギャラリーでチェック(22枚)画像ギャラリー■大きなドアは皆に優しい:ポルテ
超変則の3ドアコンパクトカーがポルテだった。運転席はヒンジドア、バックドアは跳ね上げ式とここまでは普通だが、助手席にはコンパクトカーに似つかわしくない超大きなスライドドアが準備されている。
子育てから介護まで、大開口のワイヤレス電動スライドドアが、クルマの中と外をひと続きにして、低床フラットフロアと余裕の全高で、乗り降りを究極まで楽にしたクルマだ。
小さな車体に大きなドアという、今までありそうでなかったクルマのカタチを実現し、異端児としては珍しくモデルチェンジも果たしている。
2代目では、運転席側後部にヒンジドアを1枚追加し、変則4ドアのコンパクトカーとして若年ファミリーや女性ユーザーの支持を得た。現在のルーミーやシエンタとは少し違う、独特の使用感が印象的なクルマである。
今回並べていった異端児は、なぜか全てトヨタ店(ブレイド・ポルテはトヨペット店でも)で扱っていたクルマだけになってしまった。少々特殊なクルマは歴史の長いチャネルに預けた方が安心するという、メーカー心理も働いたのだろうか。
全車種併売になり、彼らのような(いろんな意味で)面白いクルマがトヨタから減ってしまったように感じる。少々ぶっ飛んだ発想のクルマが登場するのを、首を長くして待っているファンも多いはずだ。
トヨタさん、いい子ばかりは少し飽きました。気合の入った異端児の投入を待っています。
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コメント
コメントの使い方しかし、ボディ剛性や重量バランスの面で難しいのかもしれませんが、右側後席部分のヒンジドアもシエンタに採用されているような小さいスライドドアにすればより売れたのかなと思いました。また、乗り換えを検討しているのですが、ルーミーだと排気量が1.0Lなので非力に感じてしまう場面があるのと、かといってシエンタは室内高が低めで運転するときにバックミラーが邪魔になり左前方が見にくいのでムズカシいですね…
2016年式の2代目ポルテに乗っています。
記事でも書かれているように、左側が一枚の大きいスライドドアになっている点がポルテ最大の魅力であり、助手席が畳めて前に寄せられるのも相まって、乗り降りのしやすさにつながっていると思います。