現在も大人気のノア・ヴォクシー。ライバルにはセレナやステップワゴンがいるものの、ノア・ヴォクシーそれぞれの販売台数はライバルと同等であり、合算すればライバルの倍以上を売り続ける。そんな人気兄弟の元祖に迫っていく本稿。今回は、ヴォクシーの祖先であるライトエースノアを振り返っていこう。
文:佐々木 亘/写真:トヨタ
【画像ギャラリー】現行型ノアも負けてない!! 広すぎ空間をギャラリーでチェック(18枚)画像ギャラリー■セミキャブスタイルのミニバン爆誕!
1996年に登場したライトエースノア。先代のライトエースから大きくスタイルを変え、名実共に乗用車となった。
先代のキャブオーバーからセミキャブスタイルになったことで、衝突安全性が大きく進化する。またフラットで低いフロアを採用することができ、乗降性も良くなった。
ボディサイズは約4.5mの全長で、5ナンバー枠いっぱいの全幅1,695mm、全高は1.8mから2mに迫るモデルもあった。ただ、現行型のヴォクシーと比べれば、ボディ全長が約20cm短く、全幅も狭い。
それでも、室内空間の狭さを感じさせない工夫を凝らした作り込みが、ライトエースノアの醍醐味だ。
【画像ギャラリー】現行型ノアも負けてない!! 広すぎ空間をギャラリーでチェック(18枚)画像ギャラリー■シートアレンジが絶妙すぎる
7人・8人乗りを準備するライトエースノアは、もちろん3列シートのミニバンなのだが、シートにかけられた技術の多さは、現在のミニバンをも大きく凌ぐかもしれない。
まずは1列目から3列目まで、全シートにスライド機構が備わる。セカンドシートまでは予想できるのだが、跳ね上げタイプになっている3列目までスライドできるのは驚きだ。3列目シートのスライド量は155mm、2列目が165mm動くので、配置によってはサードシートでも十分な足元スペースを確保することが可能になる。
7人乗りは2×2×3のタイプで、2列目はキャプテンシートだ。これはこれで十分に使い勝手のいいシートなのだが、ライトエースノアは8人乗りのシートに素敵な魔法が詰め込まれている。
特に圧巻なのが、フィールドツアラーに装備される8人乗りのシート。基本は2×3×3だが、2列目シートの中央部が魔法のように変化するのだ。シートバックを倒せばシート背面にはテーブルが用意され、2列目と3列目の乗員が便利に使うことができる。
さらに、セカンドシートウォークスルー状態(サードシート乗り込み状態)が珍しく、シート中央部が座面ごと、運転席側の2列目シート横に格納されるのだ。見た目は完全に観光バスの補助席格納状態。セカンドシート中央部が跳ね上げ格納できることで、8人乗りを選んでも、簡易的ではあるが2列目シートをキャプテンシートのように使えるのがイイ。
ありそうでなかった8人乗りシートのアレンジ方法。現在は2列目キャプテンシートの居住性が高すぎるため、このサイズのミニバンでは7人乗りを選ぶユーザーが多い。ただ、フィールドツアラーのシートアレンジが、現代にも残っていたら、8人乗りを選択するユーザーが今よりも増えているのではないだろうか。
【画像ギャラリー】現行型ノアも負けてない!! 広すぎ空間をギャラリーでチェック(18枚)画像ギャラリー■フル乗車でスキーも任せろ!
豊富な収納力もライトエースノアの魅力。特に、「ここまで収納にする?」と驚くのが、シート下収納である。こちらもフィールドツアラーの装備で、マルチスペースアップシートと名付けられた。
通常、長尺物を積み込む際は、シート背面を片側だけ倒して積むのが定石だが、ライトエースノアは違う。サードシートもセカンドシートも人が乗れる状態のまま、シートの座面下にスキー板などの長いモノを突っ込むことができるのだ。
跳ね上げ式格納シートの土台となる部分にも、一切の無駄を作らずに収納と化してしまうこだわりは、現行型のノア・ヴォクシーに備わったカラクリ機能に通ずる部分である。
ライトエースノアが無ければ、ノア・ヴォクシー兄弟も生まれてくることは無かっただろう。特に専用装備を多数纏ったフィールドツアラーは、今もなお個性的なエクステリアで人々を魅了するヴォクシーの元祖なのである。
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