度重なるアクシデントでトランスファに深刻なダメージを負うも、メカニックの懸命な作業で「ニコイチ」のトランスファを組み上げ、この日の出走にギリ間に合わせた日野チームスガワラ。
しかも、この日は大好物の砂丘のステージとあって、HINO600は復活の快進撃を続けた。さあ、ダカールラリー2025も最終盤、ゴールに向けて突っ走れ!!
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/日野自動車・A.S.O.
勝負どころの砂丘ステージへ
ダカールラリー2025もいよいよ最終盤を迎え、15日から最終の17日まではサウジ南東部の通称「エンプティクオーター」、ルブ・アルハリ砂漠の端部で砂丘ステージの3連戦が行なわれる。この日はその1日目にあたり、ハラド~シュバイタ間で競技が行なわれた。
日野チームスガワラのHINO600は前日のアクシデントで傷めたトランスファをメカニックたちが修復しようとしたが、この日の時点で交換できる予備のT/Fは使い果たしていたため、これ以上為す術がないと思われた。
しかしメカニックたちは諦めることなく壊れたT/F2つを分解し、その中から生き残っている部品を選定、徹夜の共食い整備でなんとか1基のT/Fを組み上げた。
部品の交換だけでなく、溶接加工・修正などとレース終盤にしてかなりハードな作業となったため一晩で完成させることは無謀とも思われる作戦ではあったが、メカニック全員の見事な連係プレーにより出走時間直前に修復・搭載を間に合わせレース存続に繋げた。
万全の状態でこの日の競技に臨んだ。ステージはまずハラドから520kmのリエゾン(移動区間)でシュバイタまで移動し、ビバークの東側約5kmの地点から118kmのSS(競技区間)がスタートする。路面は全て砂丘で砂は柔らかく、相応に難易度は高かった。
砂丘を得意とする菅原照仁/染宮弘和/望月裕司組は過度な入力を避けるなど、修理されたトランスファに配慮しながら快調な走りを続け、4輪部門総合79位、トラック部門5位の好成績でゴール。累積順位を総合65位とし、トラック部門10位のポジションを堅持してSSゴールに隣接するシュバイタのビバークに到着した。
16日は同地を基点に東側のエリアを舞台とするループコースで競技が予定されている。
3連戦の中でも最も厳しく、今大会最後の山場と予想されるステージだが、2輪、4輪、トラックが走るコースはそれぞれ独立しており、2輪の321km、4輪(改造部門)の284kmに対してトラック(と4輪の市販車部門)は126kmと距離が短い。
難易度の高さは不明だがベストな状態で臨むべく、ビバークでは夜遅くまでメカニックたちが点検作業を続けていた。
【日野チームスガワラのスタッフのコメント】
菅原照仁
トランスファのセンターデフは交換部品が満足にないため、メカニックさんたちが徹夜で直結化してくれたものです。気を遣って高めのギアを使いながら砂丘を抜けて来ましたが、今日の砂丘ではギア比も合っていたのか、スイスイ気持ちよく走れました。
染宮弘和
砂丘でのナビゲーションは忙しくもなく普通でした。恐らく以前にも通ったエリアだったと思います。
望月裕司
フルタイム4WDなので本来センターデフは必要なのですが、リエゾンの舗装路でタイトターンをしなければ問題ないようです。今日はトランスファを含め油温上昇などもなく順調。SSが全部砂なのでタイヤ空気圧は終始1.8kgのまま。それより下げるような状況はありませんでした。