小さな高級車と聞くと、多くの人はプログレを思い浮かべるだろう。決して間違いではないけれど、トヨタが展開したもう1台「ブレビス」は、プログレとはテイストが異なる小さな高級車だった!!
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
■5ナンバー高級車という新カテゴリー
日本では“大は小を兼ねる”という言葉があるほど、大きいものこそが正義という考え方が強いようで、高級車と呼ばれるモデルは代を重ねるごとにボディが肥大化していっている。
そんな現状のアンチテーゼとして1998年にトヨタがリリースしたのが、「小さな高級車」というキャッチコピーでも知られるプログレだ。
ほぼ5ナンバーサイズというボディを持ちながらも、クラウン以上の品質を謳って上質な素材や装備、そして静粛性や乗り味などに磨きをかけたモデルとなっており、商業的には大ヒットとはならなかったが、今でも代わりがないと言われるほどのコアなファンを獲得するまでに至った1台である。
小さな高級車というコンセプトが一部の層にヒットしたプログレだったが、その極めて保守的すぎる内外装のデザインゆえにユーザー層が高年齢化してしまった。
そこでトヨタは、「アクティブ・エレガンス」をキーワードに、プログレをベースにした兄弟車のプレビスを2001年6月にリリースすることになる。
■弱点をカバーした兄弟車のブレビス
このブレビスは当時のセルシオを思わせるスタイルを纏ったほか、標準のホイールサイズをプログレよりも1インチ大きな16インチとし、専用チューニングサスペンションを採用するなど、躍動感と若々しさを与えていた。
またインテリアもプログレとは全く異なるデザインを採用し、メーターや時計にはグラスグリーン照明と名付けられたクリスタル感のあるグリーン照明やオプティトロンメーターを採用することで、差別化も図っていた。
基本的なメカニズムはプログレと共有するものの、乗る人に合わせてシートポジションやステアリング位置だけでなく、ペダルの位置までも変更が可能なパワーアジャスタブルペダルを含めた「パーソナルドライビングポジションシステム」を搭載。
乗用車としては世界初の採用となった5.1ch対応のDVDシステムを採用したりなど、ブレビス独自の装備もおごられていた。
しかし、その若々しいボディスタイルを実現するために全長が40mm、全幅が20mm拡大してしまったことで、ベースのプログレが標榜した「小さな高級車」というコンセプトからもブレることとなってしまった。
その結果、販売台数はプログレの半分以下に留まり(デビューが遅れたとはいえ)、期待した結果とはならなかったのは残念だったと言えるだろう。
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