ここ10数年、各世代の911の中古車は右肩上がりが続いていた。「もう911は買えない」と嘆く人も多い。ではこうした現象は一体いつから、どんなペースで起きていたのか。過去の価格データを元に考えていきたい。
文:小泉はつ/写真:ポルシェ
【画像ギャラリー】ちょっと前まで300万円台だったの!? 今や高嶺の花すぎるチョイ古ポルシェたち(6枚)画像ギャラリー中古車相場が跳ね上がった歴代911シリーズ
まずご存じの方も多いと思うが、歴代911の型式を整理しておきたい。初代911が901型(通称ナロー)以下、順番に2代目が930型(Gシリーズ)、3代目が964型、4代目が993型。ここまでが空冷911。
水冷911が5代目の996型からで、6代目が997型、7代目が991型で、現在が8代目の992型となる。周知の通り、911の中古車相場はここ10数年、右肩上がりが続いていた。
まずは空冷911が人気クラシックモデルとして値段が跳ね上がり、引っ張られるようにその後991型や992型などの高年式(当時の現行モデル)の値段もあがった。
その動きは何十年のキャリアがある911専門店をして「たぶん予想できた人は一人もいない」と言わせるほど、イレギュラーな人気高騰だったそうだ。もちろん、コロナによる半導体不足も価格高騰に大きく影響した。
新車でオーダーしてもなかなか手元に届かないなら中古車で…と、991型や992型は新車価格と同じ、もしくは高いなんて現象もしばらく続いていた。クラシック911と現行911が、お互いの価値を高め合う感じだ。
比較的値段が安かった993型や996型も、低走行車やターボ、GT3などの希少車の値段があがり、もはや気軽に買えるのは生産台数が多く比較的人気薄だった996型カレラ系のみ…というところで価格高騰が沈静化した、という感じだ。
【画像ギャラリー】ちょっと前まで300万円台だったの!? 今や高嶺の花すぎるチョイ古ポルシェたち(6枚)画像ギャラリー一体いつから価格高騰が始まったの?
では実際にその動きはいつから、どんなペースで上がったのだろうか?最初にその傾向が現れた初代の901型と2代目の930型の価格で見てみたい。
まずは2005年、平成17年の相場を見てみる。今からちょうど20年前で、997型が新車で販売されていた時期だ。901型は、911Sが130万円〜280万円、911Tが350万円前後で流通している。
930型カレラも100万円台後半が多く、高い物件で300万円台、なんとターボも300万円代だ。今考えたら夢のような価格帯である。
その5年後、2010年になっても901型は200万円で購入でき、高額車で600万円ほど。今や超高額車である911タルガも350万円で販売されていた。
930型は大体250万円から流通、高いモデルで400万円代。930ターボもまだ400万円代…。なんて時代だろう。
【画像ギャラリー】ちょっと前まで300万円台だったの!? 今や高嶺の花すぎるチョイ古ポルシェたち(6枚)画像ギャラリー価格高騰の兆しは2005年あたりから
そして5年後、今から10年前の2015年。ここから価格高騰が始まっているようだ。というのも、価格自体は901型が350万円〜450万円、930型が280万円〜450万円でそれほど上がっていないのだが、価格を表示しない「ASK」が一気に増え、価格を表示している物件数が激減しているだ。
901型、930型共に価格表示をしているのは全国で1桁台。逆に「ASK」はその倍以上である。ちなみにそれ以前、この2世代の「ASK」表示は、特殊グレードを除くとほぼ存在していなかった。
記憶している範囲だと、この時代から「程度の良い911は値段があがるなぁ。964なんて安く買えるのは今だけじゃない?」と笑い話をしていた記憶がある。
そこからの価格高騰は凄まじい。2010年になると、価格を表示する個体はほとんどなくなり、数少ないサンプルも901型、930型共に900万前後の物件がチラホラあるぐらい。
具体的な数字は残っていないが、当時中古車販売店を徘徊していた筆者の記憶では、901は1000万円越えは当たり前、930型がなんとか800万前後、ターボは1000万円超えという相場だった。
【画像ギャラリー】ちょっと前まで300万円台だったの!? 今や高嶺の花すぎるチョイ古ポルシェたち(6枚)画像ギャラリー











コメント
コメントの使い方