TOYOTA GAZOO Racingが東京オートサロン2025に出展した「GRヤリスMコンセプト」。トヨタが開発中としている2.0Lターボエンジンがミドシップされたもので、トヨタは「今年(2025年)中にレースで走らせる」ともしており、レースファンの間では期待が高まっている。
ただ、このコンセプトカーがこれほど注目を集めるのには、新開発の2.0Lターボエンジンがミドシップされた、という以外にも理由がある。復活が明言されているあの名車への搭載、そして、1980年代のあの「幻のラリーカー」の実現だ。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA、ベストカーWEB編集部、エムスリープロダクション
【画像ギャラリー】大いに盛り上がった!! TOYOTA GAZOO Racingによる東京オートサロン2025出展車両たち(20枚)画像ギャラリーミドシップ化は車両諸元のポテンシャルをぐっと引き上げてくれる
このGRヤリスMコンセプトは、市販を前提としたモデルではない。あくまでGRヤリスをベースに、開発中の新型2.0L 4気筒ターボエンジン「GR20E」を、後輪車軸の少し前に搭載するミドシップレイアウトに改装したプロトタイプだ。
車両運動性能の観点から考えると、エンジンをミドシップ化する最大のメリットは、重量物(エンジン)がフロントではなく重心付近に配置されることで、ヨー慣性の低減が図ることができる点にある。これにより、コーナリングの初期段階でシャープな旋回が可能となるだけでなく、コーナリング後半では後輪荷重が増えることで、リアの安定性も向上する。
日産GT-R(R35)がトランスアクスル(トランスミッションを車両後方に配置する方式)を採用してリア荷重を増やしているのも、このヨー慣性の低減とリアグリップの最大化を目的とするもの。ホンダNSXやフェラーリ、ランボルギーニなど多くのスーパーカーがミドシップエンジンを採用しているのも同じだ。ミドシップ化は車両諸元のポテンシャルをぐっと引き上げてくれる手法であり、2シーターになるという弱みはあるものの、レースシーンにおいては大きな武器となる。
そんな大好きなミドシップが、次期セリカに採用される!!?
そんなクルマ好きが大好きな「ミドシップ」だが、今回、GRヤリスMコンセプトがファンの間で話題になっているのには、2024年のラリージャパン開催中に行われたステージイベントで、トヨタの中嶋副社長(商品担当)が発した「セリカ、やります!」という発言と結びつけ、「もしかして、これが次期セリカの姿なのか!?」という期待があるからだ。
トヨタ「セリカ」は、1970年に登場。世界ラリー選手権(WRC)で大活躍したモデルだが、2006年に7世代目をもって生産終了となっている。現在トヨタは、WRCでGRヤリスをベースとしたマシン「GR YARIS Rally1 HYBRID」を使用しているが、「セリカ、やります!」という発言と、現在のWRC参戦車両に新開発のエンジンがミドシップされたという事実が結び付き、セリカが復活、しかもミドシップ4WDで復活するのか!! と、ファンの期待が盛り上がったのだ。
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