後席両側スライドドアを採用した現行ムーヴは、子育てファミリーの選択肢にも入る1台になった。だが同じダイハツには王道のタントがある。それでもあえてムーヴを選ぶ理由はどこにあるのか?
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】左右分割ロングスライドと両側スライドドアで利便性向上! ファミリーでも十分使える!? ムーヴの機能と室内空間をチェック!(13枚)画像ギャラリー子育てファミリーにも効く!! ムーヴのスライドドア化はかなり大きい
現行ムーヴの大きな変化は、やはり後席両側スライドドアの採用だ。これまでのムーヴは軽ハイトワゴンらしい扱いやすさが魅力だったが、子育て目線ではタントのようなスライドドア車に一歩譲る部分があった。ところが現行型では、その弱点をズバッと解消してきた。
子どもを乗せる場面では、スライドドアのありがたみは絶大だ。狭い駐車場で隣のクルマにドアをぶつけにくい。チャイルドシートに子どもを座らせやすい。買い物袋を持ちながらでも後席にアクセスしやすい。毎日の小さなストレスを減らしてくれる装備であり、これはファミリーカーとしてかなり効く。
もちろん、室内の広さだけで見ればタントが強い。タントは全高1755mm、室内高1370mm。現行ムーヴは全高1655mm、室内高1270mmだから、頭上空間ではタントが明確に上回る。子どもを立たせて着替えさせる、後席で荷物を整理する、祖父母も乗せてゆったり使う。そうした使い方ならタントのほうが頼もしい。
ただ、子育てファミリー全員がそこまでの高さを必要としているわけではない。子どもが1人、または夫婦+幼児中心。週末の遠出より、保育園や買い物、習い事の送り迎えがメイン。そんな家庭なら、ムーヴのサイズ感でも十分に実用的だ。むしろ背が100mm低いぶん、見た目も運転感覚も軽快で、日常の相棒として扱いやすい。
タントではなくムーヴを選ぶ理由は“ちょうどよさ”にある
タントではなくムーヴを選ぶ最大の理由は、価格とサイズと使い勝手のバランスだ。現行ムーヴはLの2WDが135万8500円、Xの2WDが149万500円、Gの2WDが171万6000円、RSの2WDが189万7500円。対するタント標準系はLの2WDが148万5000円、Xの2WDが161万7000円、Xターボの2WDが173万2500円だ。入口価格でも、売れ筋のX同士でも、ムーヴは12万6500円安い。
この差額は子育て世帯には大きい。チャイルドシート、ベビーカー、保険、メンテナンス、場合によってはスタッドレスタイヤ。クルマ以外にもお金がかかる時期だから、必要十分な便利さを確保しつつ車両価格を抑えられるムーヴはかなり現実的だ。
燃費面でもムーヴは不利ではない。2WDのWLTCモード燃費は、ムーヴのG/X/Lが22.6km/L、RSが21.5km/L。タントはX/Lが22.7km/L、Xターボが21.2km/L。NA同士ならほぼ同等、ターボ同士ならムーヴRSがわずかに上回る。送り迎えや買い物のように短距離移動が多い家庭では、燃費の差よりも価格や扱いやすさのほうが効いてくる。
では、どんなファミリーにムーヴが向くのか。子どもはいるが、軽スーパーハイトワゴンほどの大空間まではいらない。運転しやすさや価格を重視したい。夫婦どちらも気軽に使える軽が欲しい。そんな家庭には、現行ムーヴがかなりハマる。
一方、後席を毎日フル活用する、チャイルドシート2脚を頻繁に使う、室内での着替えや荷物整理まで重視するならタントが正解だ。ミラクルオープンドアを含め、子育て特化の強さはやはりタントに分がある。
つまりムーヴは、タントの代用品ではない。スライドドアの便利さを持ちながら、背の高さ、価格、走りの軽快さをほどよくまとめた“ちょうどいい子育て軽”だ。家族のメインが後席ならタント。前席中心で、ときどき後席に子どもを乗せるならムーヴ。この選び分けが、いちばん幸せな答えだ。
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