2006年頃、エントリーグレードの軽自動車の価格は2ケタが基本。そんな時代に、約130万円スタートという強気の価格設定をしたモデルが三菱から展開された。その背景に込められた想いとはいったい?
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】カワイイ!! ハローキティーが描かれた三菱アイの特別仕様車を細部までじっくりご覧アレ!!(10枚)画像ギャラリーミッドシップの新境地開拓
ボディサイズの上限が決まっている軽自動車の多くは、メカニズムをフロント部分に集約できる前輪駆動レイアウトを採用し、広い室内空間を実現するというのが常套手段となっている。
そんな軽乗用車でありながら、ミッドシップレイアウトという斬新なものを採用したモデルが存在していた。
ミッドシップレイアウトの軽自動車と言えば、ビートやS660と言ったスポーツカーや、アクティやバモスといったホンダの商用&ワンボックスモデルを思い浮かべがちだが、スポーツカーでも商用車でもないミッドシップモデルが三菱が2006年に発売した「アイ」である。
2006年1月に発売をスタートした三菱アイは、5ドアハッチバックボディを持つ実用的な軽乗用車でありながら、エンジンをほぼリアに近いミッドシップに搭載するという特異なレイアウトを採用したモデルだった。
このミッドシップレイアウトはボディサイズの限られた軽自動車でも長いホイールベースを実現しただけでなく、フロントにエンジンを搭載しないことで高い衝突安全性を持っていたことも特徴。
逆にリアにエンジンを搭載していたことで、当時の軽自動車としては唯一、55km/hの後面オフセット衝突の基準もクリアしていた。
そしてフロントにエンジンを搭載しないことはデザイン面にも影響を与えており、今でも斬新と思えるようなワンモーションフォルムを実現し、唯一無二の存在感を放っていたのも特徴だったのである。
【画像ギャラリー】カワイイ!! ハローキティーが描かれた三菱アイの特別仕様車を細部までじっくりご覧アレ!!(10枚)画像ギャラリー手の込んだ三菱の意欲作
そんなアイだが、そのほぼ専用設計という生い立ちや、エンジンも当初はアイのために開発された3B20型ターボエンジンモデルのみのラインナップだったこともあって、エントリーグレードでも128.1万円となっていた。
当時、アルトの乗用エントリーグレードが60万円台だったことを考えるといかに高額だったことが分かるだろう。
のちにNAエンジン搭載モデルや、装備を厳選して100万円を切る価格を実現したモデルなども追加はしたものの、他の軽乗用車に比べると高額だったこともあって思うような販売台数を記録することはできなかった。
だが、その志は非常に高いものがあり、当時はこのプラットフォームを使用した派生車種も検討されていたのだった。
なお、当時三菱はダイムラーと提携していたため、アイとスマートに関係性があると勘違いされがちだが、アイはダイムラーと提携するよりも前から開発がスタートしており、両車に関係性は皆無となっている(搭載エンジンの3B20をベースとし999ccとした3B21エンジンが2代目スマートに搭載されているのを除く)。
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