人気クルマゲーム「グランツーリスモ7」に、ヘンなクルマが追加されたと話題になっている。それがメルセデス・ベンツ「ウニモグ」。ベンツならAMG GTとか300SLだろと思うのだが、このクルマ、まるでトラクターじゃん。CクラスでもGクラスでもない「ウニモグ」っていったい何なのよ?
文:ベストカーWeb編集部/写真:ソニー・インタラクティブエンタテインメント、メルセデス・ベンツ
ドイツの復興を担う農業用車両として生まれた
話は第二次世界大戦が終わった1945年に遡る。焦土と化したドイツは東西に分断されたものの、人々は明日を生きるために復興へと動き始めていた。
そんな中、元ダイムラー・ベンツのエンジニアが、とある「車両」を開発する。「Universal-Motor-Gerät(ウニバザル・モトール・ゲレート)」、直訳すると「多目的動力装置」と呼ばれたこの車両は、ドイツ復興のカギを握る農業の効率化のために生まれたものだった。
もうお気付きと思うが、ウニモグとは「Universal-Motor-Gerät」の頭文字から名付けられた名前だ。
ウニモグの基本構造だが、強固なラダーフレームを土台にデフロック付き4輪駆動を組み込み、大きなタイヤをショートホイールベースで配置してある。これは荒れた地面で底突きしないためだが、タイヤ自体も鬼のように自在に動き、しかも車軸が地面に接触しにくいよう、ホイールの中心ではなく上側に繋がる構造だった(ハブリダクションドライブ)。
もう一つ、ウニモグが画期的だったのは、さまざまな作業に使えるアタッチメントを取り付けられた点だ。こうしたアタッチメントはエンジン動力を利用することも可能で、刈り取りや水撒きなど膨大な種類のウニモグ用アタッチメントが生まれることになった。
こうなるともはやウニモグは農作業だけの車両ではない。さまざまな現場から「ウニモグがほしい」という声が寄せられ、森林管理や災害救助、鉄道保線作業から除雪、競馬場整備、軍用車に至るまで、いたるところでウニモグが活躍するようになったのだ。
【画像ギャラリー】線路だって走っちゃう!! ウニモグの驚異の能力を見よ!!! (22枚)画像ギャラリー業務用途じゃなくて個人でも買える!
ウニモグは発売当初、架装業者が制作していたが、ダイムラー製エンジンを積んでいたことから1951年にダイムラー傘下に入り、正式にスリーポインテッドスターを冠するようになった。この頃から用途に応じてモデルのバリエーションも増え、「ホイールベース違い」や「ボディ違い」が用意されるようになる。
ちなみに「グランツーリスモ7」に追加されたのは、1962年式のタイプ411というモデル。先代型である401/402シリーズの発展型で、ラウンドしたボンネットがレトロな雰囲気を醸し出している。これ以降のモデルのウニモグはエクステリアも急速に近代化するため、初期のウニモグのイメージを伝える最後のモデルともいえそうだ。
日本でのウニモグだが、かつてはヤナセ(ウエスタンモータース)が輸入・販売していた。この時代に同社は、快適にオンロード走行もこなせる「アーバンウニモグ」というモデルを本国に発注しており、「究極のオフロードカー」として一部マニアから注目を集めた。
2005年にはヤナセの事業をワイエンジニアリングが引き継ぎ、現在も輸入・販売を行っている。取り扱うウニモグには多目的作業型と高機動型があり、業務用途のほか個人用途の購入も相談に乗ってくれるようだ。
なんと70年以上の歴史を持つウニモグ。働く現場で活躍してきた、とんでもない「クセ強」グルマといえそうだ。「グランツーリスモ7」深すぎる!
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