これだけハイブリッド車が多く走っていると、バッテリー上がりを起こしたクルマも少なくない。しかし、そんな時、愛車がハイブリッド車の場合、ブースターケーブルをつないで救援することはできない。もどかしく感じるが、なぜ救援することができないのか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock、トビラ写真:写真AC
【画像ギャラリー】ハイブリッドの駆動用バッテリーはいったいいくら? 寿命は何年? 写真でチェック!(5枚)画像ギャラリーハイブリッド車からのジャンピングスタートはダメ!

ブースターケーブルでバッテリー上がりのクルマを救援する際、バッテリー上がりを起こしたクルマのエンジンがかかった瞬間、助けるほうのハイブリッド車に大きな電流が流れ、流れ込んだ電流がハイブリッドユニットの誤作動を引き起こし故障する可能性があるため、救援車として使用することができない。もちろん、ハイブリッド車からハイブリッド車への救援もできない。
ハイブリッド車には、駆動用バッテリーと補器用バッテリーがある。補器用バッテリーはハイブリッドシステムを起動する役割があるため、駆動用バッテリーが生きていても補器用バッテリーが上がってしまうと動かないのだ。走行中は駆動用バッテリーから補機バッテリーへと充電され、駆動用バッテリーが切れそうになったら、ガソリンエンジンが作動して発電する仕組みだ。
気を付けなければいけないのは、ガソリン車からのジャンプスタートできるのは補器用バッテリーのみ、駆動用バッテリーには充電できない。補器用バッテリーをジャンプスタートにつなげば救援できるのでは、と思うかもしれないが、容量が小さいのでつないだところで助けることはできない。

ちなみに現行プリウスの駆動用バッテリーは、定格電圧3.7Vの小型・軽量のリチウムイオン電池56~60セルを直列に接続した207.2~222Vのリチウムイオン電池を利用しており、プリウスの場合は、リアシートクッションの下に搭載している。
【画像ギャラリー】ハイブリッドの駆動用バッテリーはいったいいくら? 寿命は何年? 写真でチェック!(5枚)画像ギャラリーハイブリッド車の補器用バッテリーと駆動用バッテリーの寿命は?
ハイブリッド車は1~2カ月程度乗らないと、バッテリー上がりを起こす可能性があるので週に1回、1時間以上乗ることをお薦めしたい。補器用バッテリーの寿命はガソリン車のバッテリーとほぼ同じ4年程度、駆動用バッテリーの寿命は約10年、15万~20万kmが目安といわれている。
では駆動用バッテリーが寿命を迎える予兆はあるのだろうか? 駆動用バッテリーの交換時期が近づくと燃費が悪くなり、デジタルメーターに点検を促す「ハイブリッドシステムチェック」が表示される。
補器用バッテリーの寿命に関しては、「充電不足」というメッセージが表示され、パワーウインドウの動作が鈍くなったり、ヘッドライトが暗くなるなど電装品の不具合が生じる。
ちなみに現行プリウスの場合は、新車購入後5年間または走行距離10万kmまでに駆動用バッテリーが寿命を迎えた場合は無償で交換してくれる。有料の場合は、現行プリウスの駆動用バッテリーの価格は約15万円(リビルト品は10万円程度)、工賃込みでは20万円程度かかる。余談だが日産 リーフの場合、メーカー保証を過ぎたバッテリー交換の費用は、新品バッテリーで24kWh=65万円、30kWh=80万円、40kWh=82万円ほどかかる。
補器用バッテリーの交換はガソリン車とほぼ同じだから自分でできると思われるかもしれないが、ECUやナビの初期設定、パスワードの入力などが必要になるのでディーラーに任せたほうが安心だ。駆動用バッテリーに関しても、207V以上の高電圧大容量なのでうかつに触ると感電する恐れもあるので、交換はディーラーに任せたほうがいい。
蛇足になるが、EVモードの付いているハイブリッド車の場合、バッテリーがゼロになるまで走行するのは避けたい。またバッテリーがゼロのまま、クルマを長期間保管すると確実にダメージを受けるので、もし長期間乗らないのであれば2~3割以上の残量で保管したほうがいいだろう。
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