長い歴史のある日産には、数々の名車と呼ばれるクルマがある。かつて日産は、日本初、世界初に執心していたこともあり、インパクトの強いクルマが揃っている。「輝いていたあの時代の名車」というテーマで鈴木直也氏が10台を選んで解説する。
※本稿は2025年3月のものです
文:鈴木直也/写真:日産、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年4月10日号
数々の名車を生み出した「技術の日産」
技術の日産というキャッチフレーズ。これを実感した最初のクルマが510型ブルーバードだった。スーパーソニックラインと呼ばれた直線基調のシャープなデザイン。SOHCエンジンと4輪独立サスを全車標準装備。日産ファンが熱狂したのも当然だった。
米国日産社長として510の拡販に奮闘していた片山豊(ミスターK)氏の「こんなクルマを造ったらもっと売れるぞ!」という提案から生まれるのが、S30型フェアレディZだ。
S30については説明の必要もないだろう。世界中のモータースポーツで活躍するとともに、チューニングの素材としても多くのファンに親しまれた。
トヨタ最強の人気車クラウン。その牙城を切り崩すために生まれたのが初代シーマだ。
シーマはメカ的にはY31型セドリックの拡大版にすぎなかったが、心臓部に255psの3L、V6ターボを搭載したのがミソ。「消費こそ美徳」というバブルの波に乗って大ヒット。瞬間風速ながらライバル130系クラウンの販売を上回り、王者トヨタに黒星をつけることに成功した。
バブルで輝きを増す日産車
バブルのピークに向け、日産の快進撃は続く。
スポーツカーでR32GT-R、高級車でインフィニティQ45、FFセダンで初代プリメーラ、この3台は歴史に残る偉大なクルマだ。
この時代の日産はクルマの運動性研究では世界最先端。R32型GT-RならアテーサE-TS、インフィニティQ45なら油圧アクティブサス、P10型プリメーラはフロントマルチリンクサスなど、まさに技術的なチャレンジの鬼だった。
SUVやBEVで道を切り拓く
ポストバブル時代、次の売れ筋商品を模索するなかで、SUV流行の先駆けとなったのが初代エクストレイル。
同様に「売れ筋セグメントの王道路線で台数を稼ぐ」という戦略で成功したのが、3代目マーチと3代目シルフィ。マーチは欧州でも街でよく見かけるBセグHBとしておなじみだったし、シルフィは中国市場では年間30万台オーバーの販売実績を残したベストセラーだ。
最後に、初代ZE0リーフについてだが、2010年の段階で量産BEVにゴーサインを出したチャレンジ精神に脱帽。逆転ホームランを狙ってほしいものであります。
【画像ギャラリー】こんなクルマが生み出されるのをもう一度見たい!! 日産の栄華を築いた10台の名車(24枚)画像ギャラリー




























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