クルマの中には現役の時はあまり売れなかったのに、中古車になってから魅力が評価されたり、時代の変化や新たな使い方が発見されるなどして人気となり、高値となるものがある。
その代表がAE86のカローラレビンとスプリンタートレノだ。この2台は新車の時はエンジンこそ新しかったが、シャーシやサスペンションは当時でも古く、それほど注目されなかった。
しかしAE86の次期型の90系カローラ&スプリンターがすべてFF車となったため、AE86は最後のコンパクトFRということになり、人気が急上昇。AE86人気は未だに続いている。
当記事ではそんな「絶版後に中古車になってブレイクしたクルマたち」を意外なものも含めピックアップしてみた。
今回ピックアップしたクルマの2020年1月現在の中古車情報も盛り込んでいるので参考にしてもらいたい。
文:永田恵一/写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、SUZUKI、SUBARU
【画像ギャラリー】絶版から30年以上経過しても人気が衰えないAE86レビン/トレノ
トヨタMR2(SW20:2代目)&MR-S
販売期間:1989~1999年(SW20)、1999~2007年(MR-S)
1989年登場の2代目MR2は1.6Lエンジンを搭載するコンパクトなミッドシップスポーツカーから、2Lエンジンを搭載するミドル級のスポーツカーに移行。
初期モデルのターボ車は限界域の挙動が危険なくらいシビアなハンドリングだったが、特に改良を積み重ね登場から10年近く経った最終モデルはいいミッドシップスポーツカーに育った。
MR2は2シーターのスポーツカーということもあり、多くは売れなかった。しかし現在MR2のようなミッドシップスポーツカーがないため最終モデルの中古車価格を見ると250から300万円の新車価格に対し、20年以上前のクルマにも関わらずコンディションがいいと200万円は当たり前、300万円近いものもある。
また25年落ちくらいのモデルサイクル中盤のモデルでも最低50万円と高値安定だ。
1999年にMR2の後継車となる「全体にライトな2シーターミッドシップスポーツ」として登場したのがMR-Sだ。
初期モデルこそ気軽に買える中古車価格だが、コンディションのいい終盤のモデルだと200万円ほどの新車価格に対し150万円から200万円を超えるものもある高値となっている。
日産スカイライン(R34:10代目)&シルビア(S15:7代目)
販売期間:1998~2001年(R34)、1999~2002年(S15)
1998年登場のR34スカイラインと1999年登場のS15シルビアは日産がドン底にあった時のクルマでクルマ自体に新しさはないものの、よく仕上げられたFR車だった。
しかしこの頃からスポーツ系のクルマの人気が下降していたこともありそれほど売れなかった。さらに2台の登場後に日産はゴーン体制となりR34スカイラインの標準車は2001年、S15シルビアも2002年に生産を終了し、それぞれ新車販売期間は3年間と短かった。
しかし2台は新車販売期間の短さに加え、生産終了後あたりからプロドリフト選手権であるD1グランプリが始まりドリフトに注目が集まり始めた。
さらにD1グランプリでアフターパーツメーカーのブリッツチームから華のあるドリフトを見せる野村謙選手が4ドアのR34スカイラインを使うようになり、中古車市場ではR34スカイライン人気が爆発。
S15シルビアも戦闘力が非常に高いこともあり、中古車は高値安定となった。
2台の中古車の人気は未だに続いており、2台ともコンディションのいいものだと新車より高い中古車価格を付けているものもあるくらいだ。
2台の人気を見ると日産は86&BRZの成功も引き合いに出すなどして、S15シルビアのようなクルマを出すべきなのではないだろうか。そうしないとクルマ好きの若者が日産から離れてしまうように思う。
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