「愛車のためにやっていること」が、実はクルマに悪影響を与えているかもしれません。よくある日常的な行為でも間違った知識のまま続けていると、愛車の寿命を縮めかねません。本企画では、実は逆効果な行為を5つ厳選して解説します。
文:ベストカーWeb編集部/写真/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Kesuku@Adobe Stock)
NG行為:下り坂をNレンジで走って燃費がよくなる
まず走行中の下り坂でATをNレンジにシフトするのは、絶対に避けてほしい行為です。コースティング(駆動系の伝達を切って駆動抵抗を減らした滑走状態)をイメージして、燃費が向上する気がするものです。
しかしDレンジのままでもトルクコンバーターのおかげでエンジンブレーキはほとんど利かないですし、アクセルペダルを完全に戻していればエンジンがストールしない程度に燃料を噴射するだけで、燃料を節約してくれます。
Nレンジではアイドリングを続けることになるので、Dレンジでの下り坂走行よりも燃料を消費してしまう可能性があるのです。
それだけでなくNレンジで走行するのは、クルマを壊してしまう可能性もある大変危険な行為です。というのもATには変速やトルコンのためだけでなく内部を潤滑するためにもATFを圧送するオイルポンプが組み込まれています。
Nレンジにするとエンジンの駆動力が伝わらなくなってオイルポンプが止まってしまいます。その状態で走行すると、潤滑不良や油圧不足によりAT内部にダメージを負ってしまう可能性があるからです。
ただし、機械式油圧制御のATであっても、ほとんどのAT車はドライバーのシフトミスを想定して、極低速域以外では前後進のシフト操作を受け付けない安全対策が施されていますから、万一誤操作をしてもAT本体にダメージが及ぶことはないようになっています。
NG行為:タイヤの空気圧を高めにしすぎる
タイヤはクルマによって適正な空気圧が定められており、後から少しずつ空気圧が低下していくことを考えて、少し高めにしておくことも多い。この空気圧を高めすぎるのも、クルマを傷めたり、危険なコトにつながるので気を付けたいところです。
省燃費を追求する軽自動車などでは指定空気圧が高め(先代アルトやワゴンRは280kPa!)なモデルもありますが、これを真似して空気圧を高めるのは危険です。こうした高めの空気圧が指定されている車種は、専用のタイヤを使い、テストして性能を確保しています。
一般のクルマは指定空気圧が220~240kPaあたりであれば、せいぜい1割アップ程度が高めに設定する限界。それ以上高くするとタイヤが走行中の衝撃を吸収しにくくなって、ホイールベアリングなど足回りの部品の寿命が短くなったり、タイヤの偏摩耗や雨天走行時のグリップ不足という弊害を起こす可能性が高まります。
転がり抵抗の少ないエコタイヤに交換しても、指定空気圧からあまり高めないことです。それでも十分に燃費向上効果は期待できるハズ。
NG行為:冬場の長時間アイドリング暖機運転
「長く乗りたいからこそ、できるだけ丁寧に扱いたい」——そんな思いから日常的に行っている暖気(アイドリング)。寒い朝の始動時、「エンジンをしっかり暖めてから走り出す」のはひと昔前の常識。
近年のクルマは電子制御化が進み、エンジンも冷間時の効率的な運転を前提に設計されています。
昔はチョークでアイドリングの回転を上げて暖気運転をしたものです。現代のクルマの暖機は30秒〜1分程度で十分です。
長時間のアイドリングは無駄な燃料消費と排ガス排出、エンジン内部への悪影響(カーボン蓄積)を招きます。最新車両の取扱説明書でも「すぐに走り出して問題なし」と明記されているケースが多いです。
それでもクルマを長持ちさせたいなら、エンジンやトランスミッションなどを優しく暖めるためにしばらくはゆっくり労りながら走るとよいでしょう。










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