毎年たくさんのクルマがフルモデルチェンジを行い、私たちを楽しませてくれる。モデルチェンジは実に楽しいものだが、絶え間なく変わり続ける見た目に、少し疲れても来る頃では。見た目がほとんどかわらないのに、中身の充実度がスゴイというモデルチェンジが、クルマの成熟してきた令和には似合いそう。クルマの進化について、少し足を止めて考えていきたい。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】時代は変わってもウィンダムは変わらない!! 最初から完成されていたボディ!! これぞトラディショナル!(20枚)画像ギャラリー顔より質や中身を重視した改良であれ
フルモデルチェンジと言えばどのような状態を思い浮かべるだろうか。クルマの顔が変わり、テールデザインが変わり、内装の雰囲気も大きく変わることを想起する人が多いはず。
確かに見た目が大きく変わるモデルチェンジには楽しみがあるが、最近はデザインばかりに気を取られた改良も少なくない。少し年月を遡ると、過去にはほとんど顔を変えずに、中身の質を大きく向上させたクルマがあった。
自動車が生まれて長い年月が経つ。そろそろデザインの熟成も済んだ頃だろう。モデルチェンジは中身だけでもいいのではないだろうか。
2代目ウィンダムの改良が今目指すべき改良の姿では?
1996年に登場した2代目ウィンダム。このクルマ、今どきではほとんど見ない超キープコンセプトのフルモデルチェンジとなっていた。
エクステリアデザインは、1991年登場の初代モデルと瓜二つ。ヘッドランプが初代はプロジェクター式、2代目はマルチリフレクター式といった違いや、フロントバンパー下部の若干のデザイン変化こそあれ、パッと見はどちらが新型か見分けがつかないほどである。
しかしその中身は初代と2代目では雲泥の差となっている。
エンジンはVZ系からMZ系エンジンへ切り替わり、3Lモデルでは先代より10ps高い210psを発生、2.5Lの新開発エンジンに至っては先代比25ps向上の200psを発生する。
足回りではGグレードに、究極のフラットライドを実現したスカイフックコントロールサスペンションと呼ばれる電子制御ショックアブソーバーを採用し、操縦性や走行安定性はもちろんのこと、乗り心地も格段に向上していた。
また、ホイールベースを50mm、全長65mm、全幅10mmの拡大でキャビンスペースが非常に広くなり、サブフレーム式の二重防振構造を採用したことにより静粛性も高まっている。
安全性能でも全車にABSと前席SRSエアバックを標準装備。ボディには衝突安全ボディのGOAを採用する。
当時の新型車カタログを見ても、エクスリアについてはほとんど触れられることなく、多くの写真で堪能するだけなのだ。説明は新機能や新装備の解説で埋め尽くされ、いかに「中身」が変わったかが、熱く語られている。
真摯な改良を続けることが大切
ウィンダムのモデルチェンジは、フルモデルチェンジではなく一部改良のように取られてもおかしくない変化だ。ただ、他車のフルモデルチェンジ以上に内容の濃いモデルチェンジは、令和の今、見習うべき箇所が多い。
発売当初の人気が無くなってくると、すぐに顔を変えて再登場させることが増えてきた昨今。本当の意味でのモデルチェンジ(改良)が進んでいないのではないかと、危惧することもある。
クルマは中身を熟成させてナンボだと思うし、ハイエースのように長い期間かけて外見は変えずに中身のアップデートをし続けることも、必要な作業ではないだろうか。
長寿モデルというものが少なくなってきた昨今、新しい価値の提案に加えて、今までの機能・性能の熟成が進むと、日本車はさらに強くなると思う。























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