東京オートサロン2026でホンダが披露した「シビックタイプR HRCコンセプト」。HRC(ホンダ・レーシング)が手がけたこのモデルは、レース直系の技術を背景に、メーカー純正コンプリートカーを見据えたコンセプトモデルとして提示されたもので、ホンダは「将来的な市販化を見据えて開発を進めている」と明言しており、実際すでに完成形にかなり近づいているようにも見えました。HRCが本気で仕上げた究極のタイプR、その現在地を、現時点で見えている範囲から整理してみましょう。
文:吉川賢一/写真:HONDA、エムスリープロダクション
【画像ギャラリー】東京オートサロン2026にホンダが出展したコンセプトモデルやレース車両たち(16枚)画像ギャラリー市販前提、メーカー純正コンプリートカーを見据えたコンセプトモデル
「シビックタイプR HRCコンセプト」は、東京オートサロン2026のホンダブース壇上に登場したコンセプトカーです。HRC(ホンダ・レーシング)会長の渡辺康治氏によるプレスカンファレンスによると、「将来的な市販化を見据えて開発を進めている」とのことで、「方向性を探るためのコンセプトカー」というより、かなり具体的な出口を想定した、メーカー純正コンプリートカーを見据えたコンセプトモデルということになります。
開発にはHRCの風洞設備や高度なシミュレーターが使われ、アドバイザーとして佐藤琢磨氏を迎えたほか、大津弘樹選手、岩佐歩夢選手といった現役レーシングドライバーの知見も反映されているとのこと。こうした開発体制を見れば、このモデルが構想段階にとどまらない存在であることは、十分に伝わってきます。
シビックタイプRといえば、2025年11月に富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久第7戦において、新開発のレース用エンジン「HRC-K20C」を搭載した271号車が、ST-Qクラスのコースレコードとなる1分44秒670を記録しました。こうした実績の延長線上に今回のHRCコンセプトがあると考えると、このプロジェクトに対しても期待せずにはいられませんよね。
FL5とは別物の「エアロ直系」な中身
展示車両は偽装状態でしたが、それでもノーマルのFL5型とは明らかに雰囲気が異なっていました。最大のポイントは、徹底したエアロダイナミクスです。
フロントには、スプリッター一体型のバンパーアンダースポイラーと大型カナードを装備。フロア下面、ボディ上面、左右方向の気流を整理し、効率的にダウンフォースを生み出す構成となっています。ラジエーターにはHRCロゴが入り、冷却性能を強化した専用品が使われていることも確認できました。
サイドでは、フェンダーアウトレット上部に追加されたエアロフェンダーと、リアタイヤ前方でキックアップする形状のサイドステップが特徴です。これらは空気抵抗の低減だけでなく、高速域での安定性向上にも寄与するはずです。
リアまわりには、翼端板を大型化したリアウイングと大型ディフューザーを装備。空気の剥離を積極的に制御する考え方は、スーパー耐久やSUPER GTといったレース現場で培われた知見とテクノロジーを適合した姿といえるでしょう。
なお、タイヤとホイールはミシュラン・パイロットスポーツ カップ2(265/30ZR19)と19インチ鍛造ホイールの組み合わせです。現時点では標準車と同サイズですが、最終仕様での変更も十分に考えられます。



















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