今でこそN-BOXを筆頭としたNシリーズで軽自動車界を席巻しているホンダだが、2011年に初代N-BOXが登場するまでダイハツ タントやスズキ パレットなどのスーパーハイトワゴンにおされ苦戦を強いられた時期があった。そんな時代に気を吐いていたのが2006年から2012年まで販売されていたゼストだ。とくに2008年に新設定されたゼストスパークはカスタム度の高いモデルとして一定の人気を誇っていたのだ。
文:小鮒 康一/画像:ホンダ
より精悍なフロントマスクを採用したゼストスパーク
2006年2月にそれまでラインナップされていたザッツの実質的な後継車種として登場したゼストは、大きなヘッドライトや丸みを帯びたフォルムで女性的なイメージの強かった4代目ライフとメカニズムを共有するモデルで、年齢性別を問わず乗ることができるデザインをまとったものとなっていた。
当初は通常モデルのゼストと、エアロバンパーを装着しターボモデルもラインナップしたゼストスポーツの2本立てで販売されていたが、2008年12月に実施されたマイナーチェンジでゼストスポーツの代わりにゼストスパークなるモデルが投入された。
このゼストスパークは、スポーツではバンパー周りの変更のみだったデザイン面を3連タイプのプロジェクターヘッドライトを採用するなどしてフロントマスクを一新。
放電を意味し、見る人の魂を熱くさせ、圧倒的に煌めく存在になるという思いを込めて名付けられたスパークの名前に合わせてHIDヘッドライトを全グレードで標準装備する力の入れっぷり。
さらに専用ボディカラーとして「プレミアムディープバイオレット・パール」と、新色の「プレミアムナイトデザートゴールド・パール」を設定しており、後者のボディカラーは日本国内ではゼストスパークにのみ設定されたレアカラーとなっていた。
時代を席捲したあのAマークが標準装備に!?
そして2010年7月には、当時ゼストスパークのCMに出演していた浜崎あゆみ氏とのコラボレーションモデルとして「Aスタイルパッケージ」が登場。
このモデルでは同氏のロゴマークでもある特徴的な「A」の文字をあしらったボディデカールやインテリアパネル、そして“Spark”のAの文字をロゴマークに差し替えた専用エンブレムなどが装着されるもので、ファン垂涎の仕様となっていたのもゼストスパークを語るうえで外せない仕様と言えるだろう。
モデル末期ではスーパーハイトワゴンに押され気味となっていたゼストではあったが、2012年に実質的な後継車種であるN-ONEが登場するまではその座を死守しており、ホンダの維持を感じる1台だったと言えるかもしれない。


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