違法スロープで罰則&賠償リスク!? 自宅駐車場前の段差を合法化する方法

違法スロープで罰則&賠償リスク!? 自宅駐車場前の段差を合法化する方法

 道路と敷地との段差を解消し、クルマや自転車を乗り入れやすくする段差解消スロープ。住宅地では、自宅駐車場などの前に設置されているのをよく見かけますよね。

 しかしながら、道路への段差解消スロープの設置は、法律に違反する行為であることをご存じでしょうか。

文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_xiaosan/写真:Adobe Stock、写真AC、柏市

【画像ギャラリー】危ないから撤去を!! 自宅駐車場前の段差解消スロープは違法です!!(6枚)画像ギャラリー

道路への物件設置は、道路法と道路交通法に違反する行為

 敷地と道路との間の段差を解消してくれる段差解消スロープ。設置することで、段差をスムーズに乗り越えるこができるため、自宅駐車場の前などに設置しているという人は少なくないでしょう。

 実際、街中でもよく見かけますが、実はその多くが違法の状態。敷地よりも一段低くなっている道路との段差を解消するために設置されることから、段差解消スロープは敷地外の道路に設置されていることが多いですが、たとえ敷地の入り口であったとしても、道路に勝手に物を放置することは法に触れる行為。「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為をすること」を禁止している道路法第43条に違反するほか、「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。」とする道路交通法第76条3にも違反する行為でもあります。

 道路法において「道路」とは、「一般交通の用に供する道」(第2条)。いわゆる「公道」はすべて道路法における「道路」であり、車道も歩道も「道路」です。また、道路交通法における「道路」とは、この道路法における道路に加えて「一般交通の用に供する(略)場所」も道路と定義されています(第2条の1)。そのため、道路交通法における「道路」には、不特定多数の人が自由に通行できる状況であれば「私道」も含まれます(その他道路運送法第2条の8で規定する自動車道も道路交通法における道路です)。

 そのため、公道に隣接している敷地において、段差解消スロープを設置することは、道路法と道路交通法に違反する行為であり、私道であったとしても、道路交通法に違反する可能性があります。道路法違反とされた場合は、1年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金に処せられ、道路交通法違反とされれば、3か月以下の拘禁刑、または5万円以下の罰金に処されます。

よく見かける段差解消スロープだが、実はその多くが違法の状態。たとえ私道であったとしても、場合によっては道路交通法に違反する行為となる(PHOTO:Adobe Stock_tarou230)
よく見かける段差解消スロープだが、実はその多くが違法の状態。たとえ私道であったとしても、場合によっては道路交通法に違反する行為となる(PHOTO:Adobe Stock_tarou230)

バイクや自転車が転倒してしまうリスクが 過去には死亡事故も

 「とはいえ、みんなやってるし、別に大丈夫でしょ」と思う人は少なくないと思いますが、この段差解消スロープに関して、いま設置をしないように呼び掛ける自治体が増えています。

 その理由となっているのが、自転車やバイクが段差解消スロープに乗り上げてしまうと、転倒してけがをするリスクがあるということです。過去には、段差解消スロープが原因でバイクが転倒、死亡事故となってしまった事例もあります。

 バイクや自転車だけでなく、歩行者にとってもつまずく原因となり、特に視認性が低くなる夜間には、思わぬ事故を招くおそれがあります。ほかにも、大雨によって流されてしまえば、予期せぬ場所で事故の原因になってしまうことも考えられますし、段差解消スロープが雨水の排水を妨げ、冠水や浸水などの悪影響を及ぼすおそれもあります。

 こうして第三者に危害が生じてしまうと、不法行為に基づく損害賠償義務が生じるため、治療費等の損害を賠償しなければならなくなる可能性があり、刑事責任も問われることになります。ちなみに段差解消スロープが原因で死亡事故となってしまった事例では、段差解消スロープの設置者が、道路交通法違反で書類送検、略式起訴されたそうです。

自転車やバイクが段差解消スロープに乗り上げてしまうと、転倒してけがをするリスクがある。過去には、段差解消スロープが原因でバイクが転倒、死亡事故となってしまった事例も(PHOTO:Adobe Stock_xiaosan)
自転車やバイクが段差解消スロープに乗り上げてしまうと、転倒してけがをするリスクがある。過去には、段差解消スロープが原因でバイクが転倒、死亡事故となってしまった事例も(PHOTO:Adobe Stock_xiaosan)
第三者に危害が生じてしまうと、不法行為に基づく損害賠償義務が生じるため、治療費等の損害を賠償しなければならなくなる可能性が(PHOTO:Adobe Stock_yamasan)
第三者に危害が生じてしまうと、不法行為に基づく損害賠償義務が生じるため、治療費等の損害を賠償しなければならなくなる可能性が(PHOTO:Adobe Stock_yamasan)

次ページは : じゃあどうすればいい? 正しい「段差解消」の方法とは

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