1980年代後半、日本では、スキーやキャンプなどのアウトドアがブームになるなどレジャーが多様化し、そのライフスタイルに合わせたクルマ選びが加速、セダンのような走りと商用バン譲りの積載力をあわせ持つ「ステーションワゴン」が大ブームとなりました。ボルボの「240エステート」やアウディ「100アバント」などの輸入ワゴンのスマートなイメージもブームに一役買っていたことでしょう。
ミニバンが台頭する前夜の時代に起こったステーションワゴンブームを振り返り、当時の名車たちの魅力と、いまなお語り継がれる理由を探ります。
文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:NISSAN、SUBARU、HONDA、TOYOTA、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】30年前は熱かった!! 90年代のステーションワゴンブームのなかで誕生した名車たち(12枚)画像ギャラリー快速4WDワゴンの旗手「スバル レガシィツーリングワゴン」
1989年に登場した初代「レガシィツーリングワゴン」は、スバルが誇る水平対向エンジン+シンメトリカルAWDをステーションワゴンに持ち込んだことで、街中はもちろん、当時ブームを迎えていたスキーへと向かう道中の雪道でも抜群の走行安定性を誇り、平日は都市高速を颯爽と走り抜け、週末はスキー場へ――そんなアクティブなライフスタイルを体現するモデルとして、ステーションワゴンブームの火付け役となったモデルです。
トップグレードの「GTターボ」は、220ps級のパワーと快適性を両立。その後継モデルではさらなる高性能化が図られ、最高出力280psを誇るハイパワーグレードも追加されました。これによってレガシィ人気はいっそう高まり、「レガシィなら必要な荷物が全部積め、しかも走りが楽しい」という信頼感やスポーティなスタイル、堅実な造りによって、国産ツーリングワゴン界のベンチマークとして、長きに渡ってブームを牽引。レガシィツーリングワゴンがなければステーションワゴンブームもなかったといっていいほど、日本市場に大きな影響を与えたモデルです。
万能選手だった「トヨタ カルディナ」
そんなステーションワゴンブームに、トヨタが1992年にコロナ/カリーナをベースに送り出したのが「カルディナ」です。トヨタらしい高い耐久性と扱いやすさを武器に、ファミリー層を中心に人気を集めました。なかでもトップグレードである「GT-T」は、3S-GTEターボエンジンとフルタイム4WDを採用し、走行性能でもレガシィに迫る仕上がり。
後席を倒せばフラットな荷室が出現し、家族とのレジャーにもぴったり。手頃な維持費、万人受けするデザイン、トヨタブランドの安心感が堅実派ユーザーを引きつけたモデルでした。
「ワゴン版GT-R」 を生んだ「日産 ステージア」
日産からは1996年に「ステージア」が登場。ロングホイールベースのボディにRB25DETターボエンジンを搭載したステージアは「R33スカイラインのワゴン版」ともいえる存在。FRベースの4WDレイアウトによって、重量級ながら高い旋回性能を誇り、マニアからは「積めるGTカー」として熱狂的に支持されました。
1997年にはオーテックが手がけた「260RS」仕様が登場。GT-R用のRB26DETTエンジンを積み、「ワゴン版GT-R」とまで称される伝説的な一台となりました。高性能志向のユーザーが、セダンから乗り換えるケースも多かった名車です。















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