事故でクルマが派手に壊れてしまったけれど、新車特約に入っているからひと安心。そう思ったのも束の間、乗っていたクルマが受注停止で新しいクルマが注文できない……。このような状況に陥れば誰でも「同じ車がもう買えないのに、保険はどうしてくれるのだろう?」と不安になるはず。ここでカギを握るのは「新車特約」の補償内容でしょう。もしも受注停止中やローンの残債が残っている時には、どのように補償されるのでしょうか。新車特約にまつわる疑問について解決していきます。
文:佐々木 亘/画像:スズキ、ホンダ、Adobe Stock、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】ノマドもシビックも受注停止で有名だけど…… それでももし買えたのなら新車特約はつけるにこしたことはない!!(10枚)画像ギャラリー新車を買ったらつけるべき特約
通常の車両保険では、時価額が基準になるため、全損事故を起こしてしまった場合、同じクルマを新車の状態で買えるほどの保険金は出てきません。たとえば、新車で400万円だったクルマが3年経過すると時価は250万円程度まで下がります。
しかし、新車特約は事故などでクルマが全損となった場合に、新車購入時に設定した車両保険価額まで補償する(愛車を新車に取り替えることのできる)特約なのです。
新車特約は保険期間の末日が初年度登録年月から61か月以内のクルマに付帯することが可能で、新車だけでなく初年度登録年月から61か月以内の中古車でも、新車購入相当の車両価格を補償してくれます。新車特約は、新車購入時に加入必須なのです。
新車特約でローンがチャラにならないってマジか
では、全損扱いとなった愛車にローンが残っている場合はどうなるのでしょうか。新車特約でローンが返済できると思っている人は結構多いのですが、新車特約による保険金では、全損した愛車に残っているローンを直接返済することはできないことが通例です。
これは新車特約の補償が、あくまでクルマの購入や修理にあてるためのものという位置づけのため。実質的には、次のクルマの購入費用を新車特約の補償でまかない、新しいクルマにローン無しで乗りながら、元々あったローンを支払い続けることになります。
残価設定ローンなどの最近流行りの購入方法に対しても、新車特約は万能ではないので、注意が必要です。
新しいクルマに変えるにも受注停止だったらどうする?
新車特約を契約するにあたり、多くの保険代理店では「もし、事故でクルマが大きな損傷を受けた場合、クルマを新しいものへと交換します」と説明を行います。しかし、不幸にも事故が起こり、いざ新車特約を使おうと思ったら、自分の愛車は現在受注停止で交換できないなんてことも。こんな時はどうなるのでしょうか。
新車特約は、新車に乗り換えるための権利を持てるだけであって、絶対に同じ車種の新車に取り替えなければならないという特約ではありません。したがって、同一車種が注文できない場合は、同レベルの他車種、もしくは中古車を購入しても構わないのです。
ただし、新車特約の上限が400万円あったとして、新しく取得するクルマの車両価格300万円だった時、支払われる保険金は購入価格に相当する額となるため、差額の100万円が現金で支払われることはありません。
この場合は、新車特約で支払われる保険金は300万円になるということです。また、新車特約を使うと等級が3つダウンします。そのため、自動車保険料がアップするということも、覚えておきましょう。
新車特約は、保険会社によって自動付帯されるところと、特約として自分が選ばなければならないところと対応はまちまち。大手損保のように、新車の初度登録に合わせて自動付帯されることが、特約の在り方として好ましいカタチだと筆者は思います。
クルマを保有する上で、お金のリスクは常に抱えているもの。万が一の事故に備えるためには、お金で予防線を張らなければなりません。保険と愛車とローンと、知識をしっかりと持って、いいお付き合いをしていきましょう。













コメント
コメントの使い方等級が3つもダウンするんですね。勿論特約とってて全損した場合は使わない手はないですが、それでも損である事は間違いない。
とにかく、自分からは決して事故を起こさない運転、を日々心掛けるしかないですね。
また、相手の保険会社が保険料を出し渋り、こちらにネチネチ様々な誘導をしてくる場合が多いです。事故時に全任せできる所なのは必須です。