富士モータースポーツミュージアムの企画展に、童夢が手掛けた童夢 RL-81とトヨタ・童夢 85C-Lが並ぶ。日本とル・マン24時間レースの歴史に間違いなく名を刻んだ2台が展示されるこの企画展は、国産レーシングカーの系譜を深く知ることのできる好機といえるだろう。
文:ベストカーWeb編集部/画像:PRTimes
【画像ギャラリー】WEC JAPAN FUJIも間もなく! 富士決戦に合わせて童夢×トムスの名機を見に行こうじゃないか!(9枚)画像ギャラリー日本の耐久レースに名をのこす童夢伝説のはじまり
レーシングカーの開発などで有名な童夢が、2025年9月18日から富士モータースポーツミュージアムで開かれる企画展「耐久レースと日本 ~クルマを鍛えた進化の足跡~」に、「童夢 RL-81」と「トヨタ・童夢 85C-L」を出展すると発表しました。
「童夢 RL-81」は1981年のル・マン24時間レースへの参加を見据えて開発されたマシン。いわゆるグループ6のレーシングスポーツカーです。童夢は、1979年より「童夢 零RL」でル・マン24時間レースに参戦しましたが、惜しくもリタイヤ。
翌1980年には、「童夢 RL-80」で日本車として初めて完走を成し遂げました。「童夢 RL-81」は、1978年に発表した「童夢 零」から続く流れを踏まえ、最高速志向のパッケージを磨き上げた改良型。決勝では序盤に総合上位を走行し存在感を示しました。
世界に存在感を示した1台
完走こそ逃したものの、日本のコンストラクターが世界の舞台で戦えることを示した意義は非常に大きいと言えます。
アルミ製ツインチューブのモノコックにコスワースDFVエンジンを組み合わせ、「童夢 零RL」から続く空気抵抗を抑えたナロートレッド形状を採用されたのも特徴。青と黄色の鮮烈なカラーリングとAMADAのロゴが印象的な1台です。
ほとんどスポンサーもなく戦っていた童夢にとって、AMADAは初のメインスポンサーと言える存在。チームウェアとしての法被も忘れてはいけません。
ル・マン24時間をトヨタの「お家芸」にしたはじまり!?
一方のトヨタ 童夢85C-Lは、グループC規定下で童夢がアルミハニカムを広く用いた高剛性モノコックに、トヨタの4T-GT改ターボを搭載した1台です。全日本スポーツプロトタイプカー選手権(JSPC)での戦いから、ル・マン24時間でリヤカウルを延長し仕様「85C-L」で挑みました。
1982年以降のFIAのスポーツカー規定改定を受けて、童夢はトムスとともに「童夢トムス セリカC」で世界耐久選手権(WEC in JAPAN)に参戦しました。このマシンは、童夢が開発したシャシーにトヨタのターボ過給2T-GT改エンジンを搭載したもの。
翌1983年からはJSPCで、童夢とトムスは、トヨタ エンジンを搭載した「RC83」、「84C」でグループCレース活動を展開しました。
あの伝説的ドライバーも乗った!
ル・マン24時間に挑んだ「85C-L」は、中嶋悟、関谷正徳、星野薫といった名日本人ドライバーの布陣で総合12位完走を達成。トヨタの後年のワークス挑戦やハイブリッド制覇へつながる起点として位置づけられます。
今回の企画展は、童夢とトヨタの協業史を軸に、国産耐久の発展を時間軸で追える点が魅力。さらに会場には日産 R85VやトヨタのスープラHV-R、TS050 HYBRIDも並ぶ予定です。会期は2026年3月31日まで。
世界3大レースにも数えられるル・マン24時間に挑んだ日本の「ものつくり」の歴史を知ることのできる展示は一見の価値ありと言えるでしょう。













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