BMWモトラッドの現行ラインナップの中で人気の高いのが、その伝統や歴史を反映させたヘリテイジシリーズだ。その要とも言えるフラットツインエンジンは、1200ccと1800ccが用意されている。
新世代のライトクルーザー
新世代の1200ccヘリテイジシリーズのベーシックモデルとも言える「R 12」は、フロント19インチ、リア16インチサイズのホイールが与えられたスポーティなクルーザーだ。搭載されるエンジンは空/油冷方式のDOHC4バルブのフラットツインで、正確な排気量は1169ccとなる。このエンジンの最高出力は70kW(95PS)/6500rpm、最大トルクは110N・m/6000rpmと若干中低速向けにチューニングされる。面白いのはパワーモードで、スタンダードな「ROLL」とスポーティな「ROCK」が設定されている。そしてデザインは、かつてトースター・タンクと呼ばれた往年のモデルを彷彿とさせる造形のティアドロップ型スチールタンクと、カットオフされたようなリアフェンダーによってカスタムテイストの強いものとなる。高めのハンドルバーとミッドマウントのステップが生み出すポジションは、街乗りからツーリングまで幅広いニーズに対応できる。
R 12主要諸元(2025)
・全長×全幅×全高:2210×830×1110mm
・ホイールベース:1520mm
・シート高:754mm
・車両重量:227kg
・エンジン:空/油冷4ストロークDOHC4バルブ水平対向2気筒1169cc
・最高出力:70kW(95PS)/6500rpm
・最大トルク:110N・m/6000rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:14L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=100/90-19、R=150/80-16
・価格:199万9000円〜
デザインと乗り味に磨きをかけたクラシックロードスター
BMWモトラッドにヘリテイジラインという可能性を見出したのは先代の「R nineT」であり、その魅力的なデザインや乗り味は多くのライダーを魅了した。そして2024年モデルとして登場した「R 12 nineT」は、基本をキャリーオーバーする空/油冷方式のDOHC4バルブのフラットツインを新設計のフレームを採用して登場した。フロント120/70-17、リアが180/55-17というタイヤサイズはR nineTから受け継ぐものの、ホイールはスポークから新デザインのキャストへと変更される。デザインはR nineTをベースとするものではあるが、タンクの全長が短くなるなど全てリデザインされ、ロードスターとしての完成度がアップしている。フロントフォークは倒立タイプで、スイングアームは伝統とも言える片持ちのパラレバー、駆動方式は当然シャフトドライブだ。エンジンは最高出力80kW(109PS)/7000rpm、最大トルクは115N・m/6500rpmで、R 12よりも若干高回転・高出力化され、「レイン」、「ロード」、「ダイナミック」という3つのライディングモードが用意されている。
R 12 nineT主要諸元(2025)
・全長×全幅×全高:2140×870×1070mm
・ホイールベース:1520mm
・シート高:754mm
・車両重量:220kg
・エンジン:空/油冷4ストロークDOHC4バルブ水平対向2気筒1169cc
・最高出力:80kW(109PS)/7000rpm
・最大トルク:115N・m/6500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:16L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:254万3000円〜
伝説のレーシングマシン「R 90 S」をトリビュート
1970年代に数々の伝説を残したレーシングマシン「R 90 S」を彷彿とさせるシルエットとカラーリングを採用した、最もスポーティなヘリテイジモデル「R 12 S」。特徴的なビキニカウルとシートカウルが装着され、ブラックアルマイト仕上げの倒立フォークやハンドルバー、インナーをブラックとしたライトカウル、スモーク仕上げのウインドスクリーンを採用する。ホイールは このモデルだけの特別装備となるシルバーアルマイト仕上げのスポークタイプで、エキゾーストシステムも専用のメッキ仕上げのものが装着される。ただ。残念ながらこの「R 12 S」は限定モデルであり、既に予約申し込み受付が終了しているため新車で入手することは困難だ。
R 12 S主要諸元(2025)
・全長×全幅×全高:2130×870×1070mm
・ホイールベース:1511mm
・シート高:795mm
・車両重量:220kg
・エンジン:空/油冷4ストロークDOHC4バルブ水平対向2気筒1169cc
・最高出力:80kW(109PS)/7000rpm
・最大トルク:115N・m/6500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:16L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-17、R=180/55-17
・価格:297万7000円〜
オフロード性能を鍛えたアドベンチャー仕様
R 12シリーズのアドベンチャーバージョン「R 12 G/S」は、1980年の「R 80 G/S」のフォルムとカラーを現代的にアレンジしたトリビュートモデルだ。フロント21、リア18インチのホイールを採用し、サスペンションストロークはR 1300 GS Adventureに迫るフロント210mm、リア200mmを確保する。フレームはオフロードでの操縦性を重視した専用設計とされ、ステアリングヘッドを高く、前方に配置することでオフロードでの自在なハンドリングを可能し、最低地上高も240 mmを確保する。そのフレームに抱かれる空/油冷方式のDOHC4バルブのフラットツインエンジンは、最高出力80kW(109PS)/7000rpm、最大トルクは115N・m/6500rpmという「R 12 nineT」と同じスペックとなる。また、リアに18インチサイズのホイールを履き、より本格的なオフロード走行を楽しめる「R 12 G/S GSスポーツ」も用意されている。
R 12 G/S主要諸元(2025)
・全長×全幅×全高:2285×900×1240mm
・ホイールベース:1585mm
・シート高:860mm
・車両重量:229kg
・エンジン:空/油冷4ストロークDOHC4バルブ水平対向2気筒1169cc
・最高出力:80kW(109PS)/7000rpm
・最大トルク:115N・m/6500rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:約15.5L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=90/90-21、R=150/70-17
・価格:245万1000円〜
ビッグボクサーを積むシンプルなカスタムクルーザー
1801ccという大排気量のフラットツインエンジンを搭載するR18シリーズの、ベーシックモデルとなるのが「R 18」だ。フロント19インチ、リア18インチのホイールを採用したシンプルなデザインのクルーザーだが、BMWが誇る最新の電子制御が導入されている。OHV方式を採用したエンジンは3000rpmで最大トルクを発生する低速仕様で、ゆったりと走りながらそのエンジンの鼓動感を楽しむことができる。ライディングモードは「Rain」、「Roll」、「Rock」の3種類が用意されており、走行シーンに合わせた乗り味を提供する。シンプルな外装のデザインを持ち、エキゾーストシステムやプッシュロッド、外装パネルなど多くのパーツがシックなダーク・クロームフィニッシュ仕上げとされ、印象的なカスタムクルーザースタイルに仕上げられている。
R 18主要諸元(2025)
・全長×全幅×全高:2465×950×1125mm
・ホイールベース:1730mm
・シート高:720mm
・車両重量:345kg
・エンジン:空/油冷4ストロークOHV4バルブ水平対向2気筒1801cc
・最高出力:67kW(91PS)/4750rpm
・最大トルク:163N・m/3000rpm
・変速機:6段リターン
・燃料タンク容量:約16L
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=120/70-19、R=180/55-18
・価格:263万8000円〜
時代を超えるモダンクラシックスタイル
2025年モデルで従来の16インチから19インチへとフロントホイールサイズが変更され、スタイリッシュさに磨きがかかった「R 12 Classic」。その名の通り、古き良き時代のクラシカルなデザインを現代的にアレンジし、高速走行で威力を発揮するウインドシールドと実用性をアップするレザーサドルバッグを装備する。パワーユニットはR 18シリーズに共通する空/油冷4ストロークOHV4バルブ水平対向2気筒1801ccで、最高出力67kW(91PS)/4750rpm、最大トルク163N・m/3000rpmという低速向けチューニングで、力強いトルクフィーリングを感じつつクルージングできる。また、スタイリッシュなダブルシートが装備され、タンデムライドを楽しむことができる。


















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