毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はホンダ 2代目クロスロード(2007-2010)をご紹介します。
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文:伊達軍曹/写真:HONDA
■車格アップのCR-Vユーザーの受け皿として登場したクロスロード
低床ミニバンである2代目ホンダ ストリームの車台を流用して作られた3列7人乗りのクロスオーバーSUV。
3列シートにしたことの是非は別として、シンプルでシュッとしたルックスから「これは売れるかも?」と思われたが、結果としてまるで売れず、わずか3年半で廃番となってしまった悲運のSUV。
それが、2代目ホンダ クロスロードです。
1993年登場の初代クロスロードは純粋なホンダ車ではなく、英国ランドローバー社のクロカン四駆「ディスカバリー」のOEM供給版でした。
その初代クロスロードは1998年に販売終了となりましたが、約10年の時をおいて2007年2月、「車名は同じだけどまったく別の車」として登場したのが2代目クロスロードです。
2代目クロスロードの車台は前述のとおり、人気の底床ミニバンだった2代目ストリームから流用したもの。
そこに、これまたストリームと同系統の1.8Lおよび2Lユニットにi-VTECを付けたエンジンを搭載しています。
ちなみにこのエンジンは8代目シビック(FD型)が搭載したものと同じで、踏めばけっこう速いのですが、ジェントルに運転すれば燃費も良好であるという、なかなか素敵なエンジンでした。
そこに組み合わされたトランスミッションは5速ATで、駆動方式はFFと4WDの2種類です。
そういった車台に、いかにもクロスオーバーSUVっぽいデザインのボディと乗車定員7名の3列シートを組み合わせたのが2代目ホンダ クロスオーバーなんですが、3列シート車とはいえ、そのボディサイズは比較的小ぶりでした。
まぁ全幅が1755mmだったため3ナンバー枠にはなってしまいましたが、全長4285mmという適度な短さは、3代目からはプレミアムクラスへと移行してしまったCR-Vユーザーの受け皿として最適。なおかつ「いざというときは7人乗れる」ということもあって、大ヒット作になるかどうかは別として「そこそこ売れるんじゃないか?」と予想した人は多かったようです。
しかしフタを開けてみると2代目クロスロードの売れ行きはパッとせず、月販目標である「3000台」は発売3ヵ月後からすでにクリアできなくなり、以降は「月販せいぜい数百台レベル」という存在になってしまいました。
そのためホンダは早々に見切りをつけ、2010年8月には生産を終了。2代目クロスロードは約3年半という短い「生涯」を終えたのです。
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