■諸説あるも…クロスロードが消えてしまった本当の理由とは
2代目ホンダ クロスロードがてんで売れず、あっという間に廃番となってしまった理由。それは……「よくわかりません!」ということになります。
いろいろ言われている理由のひとつに、「全長が短い車なのに無理やり3列シートにしたから(しかもその3列目が簡易的で薄っぺらいから)」というのがあります。
確かにそうなんですが、あれはホンダも「あくまで補助的なモノ」として作ったはずですので、普段は畳んでおけばいいだけの話。ということで、これは本質的な理由ではないように思えます。
また「デザインがGMのハマーのパクリだから売れなかった」という見方もあるようです。筆者は2代目クロスロードがハマーのパクリであるとまでは思いませんが(多少マネたな……とは思いますが)、そのあたりをいちいち気にしながら買う・買わないを決めるのはカーマニアだけ。
一般的な人々(=大多数)にはほとんど関係ない話ですので、これもたぶん違うでしょう。
そのほかでは「1.8L/2Lの車としては高額すぎたから」という見方もあります。2代目クロスロードの新車時価格は1.8LのFF版がおおむね220万円ぐらいで、2Lの4WD版が250万円ぐらいというイメージでした。
安くはないですが、かといってべらぼうに高かったわけでもないと思えますので、この見方にも100%の賛同はできません。
つまり「売れなかった理由がわからない」ということを筆者は繰り返し申し上げているわけですが、筆者が「わからない」のは、「2020年現在の視点で2007年のクロスロードを眺めているから」でしょう。
2020年の視点から見れば「他モデルの車台を流用してクロスオーバーSUVを作る」というのはよくある話だと理解できますし、デザインについても「ゴテゴテしてないで、なかなかカッコいいじゃないか!」と感じます。
また車両価格がちょっと高めであるという点についても「ま、SUVってのはそういうモンだから」という理解になります。
しかし2代目クロスロードが発売された2007年は、現在のようなSUVブームはまだ起こっておらず、ひたすらのミニバンブームが続いていた時代でした。まさに2代目ストリームのベースであるホンダ ストリームや、オデッセイ、トヨタ イプサム、ウィッシュあたりがよく売れていた頃です。
そんな時代に、三菱パジェロのような本格的な悪路性能を有しているわけではなく、かといって、日本の狭い道でも使いやすい5ナンバーサイズであるわけでもなかった2代目ホンダ クロスロードは、「なんだかよくわからない、無駄に高額なくせに車内は狭いクロカン車」にしか見えなかったのでしょう。
そうなれば、やはり売れるはずがありません。
しかしご存じのとおりその後の日本では、いや世界ではクロスオーバーSUVの大ブームが巻き起こり、それは今なお続行中です。
もしもそんな渦中に2代目クロスロードが発売されていたら、そこそこのヒット作になったかと思うのですが、こればっかりは「めぐり合わせ」ですので、今さら言っても詮無いことです。
しかし時代が2代目クロスロードに完全に追いついたせいでしょうか。その中古車は今、けっこうな高値で活発に取引されていいます。
■ホンダ クロスロード 主要諸元
・全長×全幅×全高:4285mm×1755mm×1670mm
・ホイールベース:2700mm
・車重:1460kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1997cc
・最高出力:150ps/6200rpm
・最大トルク:19.4kgm/4200rpm
・燃費:13.8km/L(10・15モード)
・価格:245万7000円(2007年式20Xi)
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