日本大学は、学生数は全学部で7万人を超える日本一のマンモス校。自動車部も学部所属のものが複数存在するなどマンモス校ならではだが、今回取材した自動車部は、学部を超えて部員が集まる体育団体連合会所属の自動車部だ。
※本稿は2025年9月のものです
文:奥野大志/写真:奥野大志、日産、ホンダ、スズキ、トヨタ ほか
初出:『ベストカー』2025年10月26日号
創部100年近い歴史を誇るマンモス大学の自動車部
●「自動車部」とは?
自動車部は野球部や陸上競技部等と同じく体育会に所属する運動部。私立大学の場合、学生自動車連盟(学連)が主催する、ジムカーナやダートトライアル、フィギュアなどに参加し、運転技術と整備技術を競っている。
強豪と呼ばれる自動車部には100年以上の歴史を誇るところもあり、多くの卒業生が自動車業界で活躍している。
・正式名称:日本大学 体育団体連合会 自動車部
・部員数:20名
・試合車:インテグラタイプR
・活動場所:東京都稲城市(保管場所) 神奈川県伊勢原市(整備場所)
・活動日:毎週土曜日/日曜日
今回はおなじみ日本大学の自動車部を取材させていただきました。日大は東京都千代田区に本部を置き、東日本を中心に16学部86学科を運営する総合大学。2025年5月1日現在、7万人以上の学生が在籍し、日本一のマンモス大学として知られています。
日大自動車部の正式名称は「日本大学体育団体連合会自動車部」。体育団体連合会は体育会の部活が集まる組織で、日大自動車部はここに所属する運動部です。
実は日大には複数の自動車部が存在しており、工学部(福島県)や理工学部(千葉県)などが知られていますが、これらは学部所属の自動車部。学部を越えて学生が集まる自動車部は、体育団体連合会所属の自動車部だけです。
2025年7月下旬、猛暑のなか、指定された神奈川県伊勢原市内の整備場に向かうと、インテグラタイプRの作業の真っ最中。
聞けば、8月下旬に2025年最大のイベント、全日本学生ジムカーナ選手権大会が開催されるため、明日の練習に備えて整備を行っているとのこと。屋根や倉庫があるものの、リフトやエアツールはなく、少ない設備で活動を行っていることがわかります。
「日大自動車部は現在、総勢20名で活動しています。内訳は4年生2人、3年生3人、2年生4人、1年生11人です。活動日は毎週土日で、東京都稲城市に車両を保管しているため、試合車をここまで運び、整備を行っています。
出場している競技は学連のジムカーナとフィギュア、フォーミュラジムカーナの3つです」(田上太一副主将)。
整備のたびにマシンをトラックで運んでくるとは、なかなかの手間。ハッキリ言って、設備面も含めて、日大自動車部の環境は決して恵まれているとは言えませんが、近年の自動車部の成績は悪くありません。
2022年の全日本と全関東ジムカーナ団体で優勝。翌年の全日本でも団体3位を獲得しています。さらに、2025年の全関東フィギュア団体でも4位に入っており、強豪校に肩を並べる存在です。
「2025年は2年ぶりにフォーミュラジムカーナにも出場し、11月の決勝大会に進むことになりました。
うちの部の特徴はメリハリある活動です。ふざける時はふざけて、ちゃんとやる時はちゃんとやる。最近は後輩の育成に力を入れていて、ジムカーナ場で1年生をガンガン走らせています。クルマは軽自動車のエッセで、上級生の2秒落ちのタイムを出す人もいて、確実に育ってきています」(同)。
限られたリソースのなかで、活動を続ける日大自動車部にとって、1年生11人の入部はポジティブなニュース。
大学自動車部合同の新歓イベントのほか、OB主催の走行会に新入生を連れていき、実際にステアリングを握ったり、横乗りしたことが部員増加につながっています。
女子部員も入部したので、学連ジムカーナの団体戦(女子2名で参加可)への出場も視野に入れています。日大生の女子のみなさん、今がチャンスですよ!
そんな日大自動車部にとって、2025年は区切りのシーズン。長い間使ってきたインテグラタイプRの2025年限りでの引退が決まっており、翌年からは学連ジムカーナの新規定に合わせたスイフトスポーツ(ZC32S)の導入が決まっています。
スイフトスポーツの個人車を購入する部員も増えており、いろいろな意味で変革の時期。しかし、長年連れ添った、インテグラタイプRの幕引きをしっかりやらなければなりません。
それが2025年8月17日に鈴鹿サーキットの南コースで行われた、全日本学生ジムカーナ選手権。日大自動車部は本番前「THE LAST DANCE」とテーマを決め、みんなでマシンの装飾を施して出場しました。
前々日と当日に車両トラブルが発生したものの、結果は早稲田、慶応、近畿に続く団体4位。目標の優勝には届かなかったものの、ほぼ全員の部員が参加し、最高のフィナーレを飾ることができました。
「当事者意識を持ってみんなが参加し、トラブル続きのなかでも優勝争いに加わることができました。チームのまとまりが凄くよく、日本で一番完成されたチームだったと思います」(同)。
日大自動車部はこれから主将交代を経て、来年に向けた準備を加速します。サポートは大大大歓迎ということなので、全国の日大OBや自動車業界のみなさん、日大自動車部の応援をよろしくお願いします!























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