帯広〜池田〜陸別〜北見間を結んだ三セク鉄道の、北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線が2006年に廃止された後、2社によるバス路線が鉄道の代替交通として新しく運行を始めた。うち陸別〜北見間を担当するのが、北海道北見バスによる「陸別線」だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、北海道北見バス陸別線の写真があります)
■フルネームで書くと長〜いバス路線
2025年12月現在、帯広〜陸別間には十勝バスの「17系統 帯広陸別線」が、代替バスの機能を担って毎日運行している。
ほぼ中間地点にあたる陸別で路線が一旦区切れて、続く陸別〜北見間を受け持つのが北海道北見バスになる。
北海道北見バスの路線に系統番号はなく、路線名をフルネームで書くと「訓子府・置戸・勝山・陸別線」と言う。
北見〜陸別間の直通便に加えて、経路がほぼ同じで途中止まりの訓子府近辺行きと置戸行き、分岐して異なる終点へ向かう勝山方面行きの4種類の系統が、一つの路線に含まれている形だ。
ここでは北見〜陸別間の直通便にスポットを当てるとして、名称を便宜的に省略して「陸別線」としている。
■鉄道時代と同等の利便性をキープ
鉄道時代には、全区間通し便と途中止まりを合わせて、上り/下りそれぞれ13〜16本程度が設定されていた。現在の陸別線はと言えば、置戸・陸別方面が平日18本、土日祝14本。北見方面が平日18本、土日祝12本出ている。
このうち、北見〜陸別を直通するのが、陸別方面6本・北見方面5本。ローカル路線バスらしいダイヤと言えるものの、鉄道時代に通り抜け可能だったのは上下各4〜5本くらいだったので、今も鉄道時代とそう変わらない本数が確保されているわけだ。
帯広から十勝バス/北見から北海道北見バスに乗って陸別へ来た場合、陸別で双方のバスに乗り換え可能なチャンスは、北見方面がスムーズ3回+待ち時間長め(うち1便は平日のみ)3回、帯広方面はスムーズ4回+待ち時間長め1回だ。
■牛柄とミント色
北海道北見バスの陸別線には、ごく一般的な長さ10.5mクラスの大型路線車が使われている。車両のダウンサイジングが進む昨今のローカル路線バスの状況を思うと、フルサイズの車が続投している様子は頼もしさを感じる。
北海道北見バスの路線車と言えば、白地にグリーンの模様(北見周辺にある各市町村のシルエット)をあしらった、「牛カラー」と呼ばれるものがおなじみ。
これに加えて最近は、2000年代後半くらいから高速バス向けのハイデッカー車に塗られていた、北見の歴史的名産品らしさを演出する、ミント色をアレンジしたものが路線車にも見られるようになった。
2025年9月の訪問時に現れたのは、2024年に導入された新しいミント色の三菱ふそうエアロスター(ホイールベース長め)だった。
■峠越え→ご当地感溢れる光景が!?
ここでは陸別で北海道北見バス陸別線に乗り換えて、陸別→北見方向で見ていこう。陸別周辺は緑の多いエリアで、出発してしばらくの間は両側に白樺ほか木々の並ぶ森林系の車窓が続く。
陸別の先には、代替バスのメインルートになっている国道242号線のうち、標高400mほどの池北峠が控えており、ここを越えるまでの区間は緩い上り坂が続く。
池北峠を過ぎると下り坂に転じて、森林系だった車窓も北海道らしい、手前に畑・奥に丘と山が連なる平野系→都会系へとシフトしていく。
北見といえばタマネギが名産で、途中の平野系の景色が続く場所にもタマネギ畑が広がっている。収穫の時期に通ると畑にタマネギを満載した乾燥用のカゴがたくさん置かれているのを観察でき、ご当地らしさがより実感できて楽しい。
また、陸別線は陸別、置戸、訓子府、上常呂、北見と、鉄道時代の経路に近い場所を経由し、ルート自体は最短ではなく少し遠回りして北見までを繋いでいる。







