「外国人ドライバー」の認知度は96%でも大半は採用に消極的!? Azoopが特定技能制度の実態調査

「外国人ドライバー」の認知度は96%でも大半は採用に消極的!? Azoopが特定技能制度の実態調査

 物流専門の人材紹介サービス『トラッカーズジョブ』などを展開する株式会社Azoopは、2024年12月に開始した特定技能外国人ドライバー制度について、運送従事者111名を対象に実態調査アンケートを実施した。

 その結果、運送会社の人手不足感・制度の認知度は高いにもかかわらず、大半は特定技能外国人ドライバーの採用に消極的なことがわかったという。

 運行の安全性、日本人ドライバーとのコミュニケーションや文化の違いが懸念されており、採用検討層・消極層の双方が行政や支援機関に費用・教育・トラブル発生時の支援を求めている。

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
図/株式会社Azoop

特定技能制度の「外国人ドライバー」の実態を調査

「外国人ドライバー」の認知度は96%でも大半は採用に消極的!? Azoopが特定技能制度の実態調査
Azoopが運送事業者へ「外国人ドライバー」の実態調査を実施した

 2024年12月、特定技能制度に「自動車運送業」が追加され、トラック運送においても特定技能外国人がドライバーとして就業することが可能になった。

 特定技能制度は、人手不足が深刻な産業において、即戦力となる外国人材を受け入れるために創設された在留資格制度だ。外国人がドライバーとして日本で働くためには、自動車運送業分野の運転技能と日本語能力試験の両方に合格する必要があるほか、企業側にも外国人材の受け入れ体制整備が求められる。

 出入国在留管理庁によると、令和7年6月末時点で特定技能「自動車運送業」の人材は計10人。いっぽうで、既に大手企業を中心に採用活動が開始されており、登録支援機関の利用や自社で海外育成機関を設立したりといった動きも見られる。

 特定技能制度に「自動車運送業」が追加されて約1年が経過し、運送業界に制度がどの程度浸透し、企業の採用モチベーションや課題がどこにあるのかといった実態を明らかにするため、Azoopがアンケート調査を実施した。

人手不足感は高くても6割以上が採用に「消極的」

「外国人ドライバー」の認知度は96%でも大半は採用に消極的!? Azoopが特定技能制度の実態調査
制度の浸透度と人手不足感

 調査の結果、運送会社の人手不足感(83.7%)と制度の認知度(96.3%)が高いにもかかわらず、「まだ何もしていない」企業が約半数を占め、採用への具体的な行動が進んでいない実態が明らかになりました。

 外国人ドライバーの採用を検討している企業の動機は、日本人ドライバー採用難が約8割を占める結果となり、採用検討層・消極層ともに最大の障壁は「日本語能力や運転技術に関する懸念」だった。

 企業が行政や支援機関に期待するサポートについては、採用検討層と消極層ともに、「費用面での補助金や助成金」「日本語教育や日本の交通ルールに関する研修プログラムの提供」「トラブル発生時の相談対応や法的支援」を求めている。

 いっぽう、採用経験企業は、特定技能外国人ドライバーの採用支援を行う登録支援機関を利用してもなお、行政や支援機関へ求めることとして「在留資格申請・入管手続きに関するより詳細な情報提供や個別相談」を挙げた。また、採用経験企業6社中5社は採用後の大変だったこととして「既存の日本人従業員とのコミュニケーションや文化の違いへの対応」を挙げた。

 自由記述の回答では、「荷主企業の理解促進」や「国による初期教育の徹底」といった、企業単独では解決が難しい課題に対する要望が寄せられた。制度の定着に向けて、行政・登録支援機関には就業後のトラブルや生活上の課題における受け皿として、より習熟した管理体制ときめ細やかな対応が求められるという。

調査結果のトピックス

「外国人ドライバー」の認知度は96%でも大半は採用に消極的!? Azoopが特定技能制度の実態調査
トラックドライバーの仕事は、時にはシート掛けなどのキツい労働も伴なう。外国人だから3Kの仕事でも構わないという発想ではダメだ。労働環境の改善は等しく図っていかなければならない

制度認知度96.3%に対し約半数は「まだなにもしていない」

 外国人ドライバーの認知度は非常に高く、8割以上はドライバー不足を感じているにも関わらず、約半数の企業は何もしていないことから、運送会社は強い人手不足を感じながら採用に踏み切れない現実が浮き彫りになった。

6割以上の企業は採用に消極的

 特定技能外国人ドライバー制度への関心がない、または採用を検討しないと回答した企業が6割以上にのぼる背景には、リスクを懸念する姿勢があり、運送業界の根幹である安全を最優先する企業の意思が伺える。また、採用した経験がある企業が最も大変だったこととして、「既存の日本人従業員とのコミュニケーションや文化の違い」を挙げており、採用後の現場での摩擦が現実的な課題となっている。

採用を検討する理由の約8割は日本人ドライバーの採用難

 外国人ドライバーの採用を検討する企業(35.2%)が採用を検討したい理由として、約8割が「日本人ドライバーの採用が困難であるため」を挙げ、圧倒的な主要因となっている。それ以外の理由は非常に少なく、現在は経営戦略的な検討というより差し迫った労働力不足への対応策として検討している様子が伺える。

求められるのは費用・教育・トラブル発生時の支援

 採用を検討する層と検討しない層の双方において、行政や支援機関に求めることの上位3項目が「費用面の補助金や助成金」「日本語教育や日本の交通ルールに関する研修プログラム」「トラブル発生時の法的支援」となった。採用前後のコストに加え、日本独自の交通ルールやコミュニケーションが大きな懸念材料になっていることを示している。

採用経験企業が直面した手続きと現場の課題

 母数は少ないながら、特定技能外国人ドライバーの採用実績がある企業も、採用の過程で様々な困難に直面している。最も求められたサポートとして「在留資格申請・入管手続きに関する個別相談」が多く挙がった。採用経験企業の8割以上が登録支援機関を利用している点からも、行政手続きの煩雑さが採用時の課題であると考えられる。

 調査結果について、Azoopの代表取締役社長CEOの朴貴頌氏は次のようにコメントしている。

「特定技能外国人ドライバー制度が広く認知されているにもかかわらず、多くの企業が採用に踏み切れていない現実が浮き彫りになりました。特定技能制度は人手不足解消の切り札として注目されましたが、実際に『外国人ドライバーを積極的に採用したい』という声が広がるには至っていません。

 その背景には、現場の受け入れ体制や言語・文化の違いによる業務上のハードルの高さがあります。また、外国人労働者側から見て魅力的に映っていないという問題も残っています。制度を持続可能な形で浸透させていくためには、企業単独ではなく、行政・支援機関・業界全体での協働が不可欠です。

 物流は社会インフラそのものであり、当社サービスを通じて、外国人材・日本人材いずれにおいても、安心して働ける環境づくりを支援し、物流業界の持続可能な成長に寄与していきたいと考えています」。

【画像ギャラリー】Azoopによる「外国人ドライバー」に関するアンケート調査(10枚)画像ギャラリー

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