2025年12月18日に閉会した臨時国会では、自動車に関するさまざまな税制や補助金制度が見直された。廃止される税制もあれば、増税につながる制度もある。果たして高市政権による改革は、ドライバーに対する税負担が本当に軽減されるのか? または代替財源によってやはり国民の税負担が増すことになるのか? いち早くチェックしてほしい。
文:鈴木喜生/写真:写真AC
【画像ギャラリー】高市政権の税制改正はホントにお得⁉(5枚)画像ギャラリー51年間かかった待望の「暫定税率」の廃止
今回の臨時国会では自動車に関連する5つの税制と、1つの補助金制度が見直された。そのうち減税幅がもっとも大きいのが「ガソリン・軽油の暫定税率の廃止」と「環境性能割の廃止」だ。
●新税制1「暫定税率の廃止」
「暫定」と言いつつ51年間にわたって徴収され続けた「ガソリン暫定税率」は、高市首相の就任からわずか2カ月弱で廃止された。
2025年12月11日以降、ガソリンに対しては暫定税率と同額の補助金、1リッター当たり25.1円が上乗せされ、これによって実質的には暫定税率による負担分がゼロとなった。そして、2025年12月31日に暫定税率自体が廃止された。
また、軽油に関しても2025年11月27日から1リッター当たり17.1円の補助金が上乗せされており、2026年4月1日には制度自体が廃止される。
円安がさらに進めば暫定税率による軽減分が相殺されると危惧する意見もあるが、国内のガソリン価格は「1ドル1円の円安が進むごとに約0.7円〜0.8円(税込)上昇する」とされることから考えれば、為替水準が157円の場合、1ドル188.4円から192.9円まで円が安くならなければ相殺されないことになる。
●新税制2「環境性能割の廃止」
環境性能割とは、新車を購入した時や名義変更を行った際に納付する自動車税の一種。その税率は各モデルの環境性能に応じて決定されている。
例えば、普通乗用車であれば車両本体価格やオプション価格などを含めた「取得価額」に対して税率0〜3%、軽自動車であれば0〜2%が徴収され、環境性能が高いほど税率が低く、または非課税となる。
この環境性能割は当初、2026年4月1日から2年間に限って停止する方向で調整されていたが、2025年12月19日、自民党と日本維新の会がまとめた2026年度税制改正大綱において、2026年3月末をもって恒久的に廃止する方針が盛り込まれた。
この廃止によって発生する減収分は、今後その代替案が検討されるとともに、具体案がまとまるまでは国が手当するとされた。
ただ、車両価格50万円以下はそもそも非課税であり、EVやPHEVは環境性能割の優遇基準に該当するため非課税となっている。
一方、クリーンディーゼル車やハイブリッド車は燃費・排出ガス性能によって非課税になる場合と課税になる場合がある。そのため今回の措置は主にガソリン車やHEV(ハイブリッド車)を購入する際に恩恵を受けることになる。
一部メディアでは、この改正が施行される2026年4月まで車両購入の買い控えが発生する懸念を指摘しているが、対象モデルが限られていることから経済全体への影響は限定的だと思われる。
エコカー減税は厳格化、グリーン化特例も継続、エコカー補助金は見直し
エコカー減税とグリーン化特例が延長されることはユーザーにとって喜ばしいことだ。
ただし、エコカー減税においては過去2回の延長時に基準が厳格化されており、2026年5月からの延長でもガソリン車やHEVに対する基準がさらに厳しくなる。つまり、エコカー減税という制度上で増税がジリジリ進んでいるような状態だ。
●新税制3「エコカー減税の2年延長」
エコカー減税とは、ユーザーが車検時に納付する「自動車重量税」を、各モデルの排出ガス性能や燃費性能に応じて免税または軽減する制度のこと。
その有効期限が2026年4月末に迫っていたが、今回の改定で2年間延長される。2026年度予算に盛り込まれて5月1日から適用される。
今回の改正では、EV、PHEV、FCV、CNG(天然ガス車)などの優遇度合いは変わらず、多くの場合は1回目の新車登録時車検で徴収される重量税(3年分)と、2回目の「初回継続車検」で徴収される重量税(2年分)が100%免税となる。
一方、ガソリン車、ハイブリッド車、ディーゼル車、LPG車では燃費基準が厳しくなり、例えばこれまで免税とされた達成率100%が、2026年5月1日以降は105%に引き上げられる。
●新税制4「グリーン化特例」
エコカー減税では自動車重量税が軽減されるのに対し、「グリーン化特例」では新車の新規登録を行う際の自動車税や軽自動車税(地方税)が軽減される。
その期限は2026年3月31日までとされていたが、今回の改正で2028年3月末まで延長されることになった。対象となるのはEV、PHEV、FCV、CNG(天然ガス自動車)。
これが適用されれば、新規登録した翌年度分の自動車税が1度だけ、これまでと変わらず75%減税される。
●新税制5「エコカー補助金」(CEV補助金)
エコカー補助金は、EV、PHEV、FCVなどのエコカーを新車として購入した際に支給される。今回の改定ではその補助金の額が車種カテゴリーによって見直され、早くも2026年1月から適用される。
例えばEVの場合、これまでの上限90万円が130万円へと最大40万円引き上げられる。一方、FCVは上限255万円が150万円へ、一気に105万円引き下げられる。
FCVに対するこの極端な見直しが行われたのはアメリカから批判を受けたことによる。
米通商代表部(USTR)は2025年3月、日本のお家芸とされるFCVの補助金が、米国が推進するEVよりも高いことを指摘。エコカー補助制度が「非関税障壁」になっていると非難した。
これを受けて政府はエコカー補助金における公平性を確保せざるを得なかった。ただし、FCVの普及率を考えればこの改正による一般への影響は極めて限定的といえる。








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