新規導入「EV重量税」と、見送られた走行距離税
これまでに紹介してきた改正で明らかな増税となるのは「EVの重量税調整」だ。ただし、その施行までにはまだ2年の猶予がある。
●新税制6「EVの重量税調整」(仮称)
搭載バッテリーによって車重が重くなるEVやPHEVなどは、他のモデルよりも道路にかける負荷が大きいという観点から、車重に応じて自動車重量税を上乗せする方針が固められた。これは2028年度から施行される予定で、詳細は未定だ。
●走行距離課税(見送り)
今回の臨時国会では、かねてから検討されてきた「走行距離課税」(走行税)も議題に挙げられた。
しかし、片山さつき財務相は2025年11月12日の参院予算委員会で「走行距離課税は検討していない」と明言。与党の税調幹部も否定的であり、さらに財務省幹部も「技術的に問題点がある」とし、早期導入はないとした。
税収が減ったら、何で埋め合わせる?
これまでに見てきた税制と補助金の改正によって、どの程度の税収に影響があるのか? これまでに報じられた概算値をまとめると以下のようになる。
1.暫定税率の廃止/約1.5兆円の減収
2.環境性能割の廃止/2000億円の減収(地方税)
3.エコカー減税の2年延長/前年比で増収(額不明)
4.グリーン化特例/前年と同等(額不明、地方税)
5.エコカー補助金/前年比で支出増(額不明)
6.EVの重量税調整/増収(額不明)
最も額が大きいのはやはり「暫定税率の廃止」(約1.5兆円減収)であり、続いて「環境性能割の2年間停止」(2000億円減収)となる。
環境性能割は地方税に当てられているが、その減収分をいったんは国がその補填すると報じられており、結果的にこれも国の支出増となりそうだ。
これらの減収分を「EVの重量税」がどれだけ埋めるかは現時点では未知数といえる。ちなみに今回の税制改正において、「暫定税率の廃止」に次いで額が大きいのは「年収の壁」の引き上げ(約6500億円の減収)だ。
緊縮財政をベースとした過去の政権であれば、この1.5兆円や2000億円の減収分をすぐさま他の税収、代替財源で補おうとしただろう。
しかし、「責任ある積極財政」を掲げる高市政権においては、この減収分はいったん国債で賄い、減税によって経済の活性化を誘導し、その結果として税収のアップを図ろうとしている。
つまり、「責任ある」とは、将来的な税収増によって、財政健全化への道筋をつけることに責任を持つことを意味する。
また、日本版DOGEと呼ばれる「政府効率化局(仮称)」の設置により、特例減税や無駄な補助金を見直し、歳出削減を図ろうとしている。
これらを踏まえれば、今後ただちに極端な増税措置へと転じる可能性は現時点では高くない。ただし、先行きが不透明であることに変わりはない。
もし高市政権の目論見を妨げる要因があるとすれば、それは日銀によるさらなる利上げと、天災と、予測しがたいトランプによる無茶振りかもしれない。
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