フジエクスプレスで臨時運転士として乗務する記者のバス運転士日誌は、あえて令和7年最終日に勤務希望を出して割り当てられたダイヤで運行中のお話しをする。令和7年の大みそかにバス運転席から見た風景は一味違ったものだった。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■大晦日のダイヤは?
記者が所属するフジエクスプレス東京営業所が持つ路線バスで、大晦日に運行しているのは港区のコミュニティバスであるちぃばすだ。企業契約のシャトルバスは会社がお休みなので運行されない。よって大晦日に勤務希望を出すと自動的にちぃばすを担当することになることは予想していた。
運行管理者に聞いてみると、年末年始は土休日ダイヤになるのではなく特別ダイヤで運行されるとのことだった。よって仕業番号は同じでもダイヤはこの期間だけ使用される特別なものである。記者が担当するのは芝浦港南ルートの704ダイヤで、9時20分出勤、9時25分徒歩出庫、20時10分車両入庫だった。
営業所から徒歩で田町駅東口まで行き、車両を受け取り田町―品川―田町―竹芝桟橋入口―田町を3回乗務して、最後に田町―品川―田町止めで田町駅から回送で入庫するという仕業である。田町駅では次に乗務するまでおおむね40分から80分程度の休憩時間が確保されている。
■クルマが少ないのは想定内
予想されていたことだが、大通りも路地も車は少ない。普段は客待ちをしているタクシーがバス停付近にいないので、バス停に着けやすいし出やすい。店舗やマンション前に停車している配送トラックは宅配便程度しか止まっていないので、よけながら走るリスクが少ない。
大型の物流トラックやトレーラー、ダンプやミキサーは皆無なので走っている車両の中では自分が運転する中型バスが最大という不思議な状況になっていた。
■それでも人は乗る
大晦日の東京都でも住んでいる人はいる。全員が帰省して空っぽといことはない。平日よりも少ないが便数も少ないので人は乗る。通院目的の高齢者はいないようだが、買い物に出かけるだろう高齢者や遊びに出かけるだろう若者、ベビーカーを押している家族連れが目立つ。
しかし道路状況がすこぶる良いので、ほぼ定刻で走れるばかりか、早着して発車時刻までバス停で待つということも多かった。この際は「所定の発車時刻まで1分30秒ほどお待ちください…」「お待たせいたしました発車いたします。定刻発車にご理解いただきましてありがとうございます、次は浜路橋です…」のようなアナウンスを適宜入れる。
ちなみにフジエクスプレスでは統一の放送マニュアルはない。一方通行で双方向の行先のバスが発着するバス停では外マイクで行先を案内し、誤乗防止に努める指導はされているが、その他の放送内容については運転士に任されている。運転士が自分で考えて必要な放送を入れるが、そもそも自動放送に必要な文言はすべて入っているので、厳密には不要といえば不要だ。
しかし運転士は各自で工夫を凝らして、自分の放送を必要な時にしているようだ。別に気の利いたことを言わなければならないことはないが、できればセンスの良いスマートな放送にしたいのは人情だ。


