神奈川県を代表する大手バス会社の神奈中バス。車両の保有台数が非常に多いことに加え、基本的には新車で導入後20年経たない程度の、まだ使える状態で引退させる流れが取られているため、いちど引退した車両が別のバス会社に渡って現役を続ける例が結構ある。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、遠いところで今も働く神奈中バスの写真があります)
■外から見るとスグ分かる! 元・神奈中バス
元・神奈中バスが、他の元・大手バス会社出身の車と大きく異なり、バスウォッチの楽しさをより一層拡大してくれているのが、車体を外から見ればすぐに出自が分かる明白爽快な点にある。
最近新車で導入されている神奈中バスの車はそうでもないのだが、ちょっと前までは、前面ドア側のフロントガラス下に、運賃の支払い方式を記した幕を掲示させる小窓が標準で付いていた。
この小窓はほぼ神奈中バス独自の意匠と呼べるユニークなもので、そこを見れば大抵の場合は元・神奈中バスだと判別できる仕組み。
後で調べなくても見たその場で、ある程度正体が分かるのはバスでは珍しく、ごくシンプルに楽しめるのも元・神奈中車の魅力に繋がっている。
■510km離れた先でも頑張ってます
そんな元・神奈中バスの車、出身地の神奈川県から遠く離れた場所でも使われている光景をたまに見かける。
そこで今回は2025年に各地で出会った、元・神奈中バスの大型路線車を3台ほど振り返ってみよう。
まずは平塚駅前にある神奈中バス本社を基準にして、直線距離でおよそ510km離れたJR盛岡駅前に停まっていた、盛岡エリアを広くカバーする岩手県交通所属の2台。
■盛岡界隈ではまだ“若手”!?
いずれも前面の小窓はそのままで「後払い」と書かれた幕も掲示されていて、運賃後払い方式が主流の岩手県交通と相まって、神奈中時代の意匠が今も活用されているわけだ。
また、この2台は小窓のほか、一頃神奈中バスの標準タイプだった、青緑色のシートモケットからも元・神奈中だと判別できる。
車種を見ると1台は縦目4灯ライトの、少し昔のいすゞエルガ(PJ-LV234N1)。神奈中バスには2005年に導入、茅ヶ崎営業所で活躍していた1台だ。
2台目は横目4灯ライトの三菱ふそうエアロスター(PJ-MP35JM)で、こちらも前述のエルガと同期の2005年式とみられ、元々は橋本営業所に所属していた。
年式から2025年現在には既に車齢20年と、それなりに古株の実働車となっている。とはいえ2台とも車体は白と明るいグリーンの岩手県交通の新しいカラーで塗られているのがポイント。
どうやら岩手にやってきたのはエルガが2020年、エアロスターは2021年のようで、岩手県交通のバス車両としてはまだ“若手”の部類に入るかもしれない。
■1000km+離れた土地でも余裕だぜ
続いては海を渡った北海道。神奈中バス本社ベースで1087kmも離れた、道東エリアの端っこ・知床半島の羅臼にいた元・神奈中車だ。
こちらも前面に運賃小窓の付いた、角目4灯ヘッドライトの三菱ふそうエアロスター(KL-MP35JM)。
同車のプロファイルを軽く掘り下げてみると、神奈中バスに新車で導入されたのが2004年、大和営業所で使われていた車両らしい。
その後神奈中バスでは引退し、北海道の釧路エリアを中心にバス網を持つ代表的なバス事業者の阿寒バスに、2018年に再就職している。
当初は釧路営業所に所属していたが、2020年に羅臼営業所にナンバープレートを再取得した上で移籍した経歴の持ち主であった。
2020年はご当地ナンバーの「知床」が公布された年で、どうやらこのタイミングに合わせて羅臼へと移ったようだ。
そのため現在の同車には図柄入りの知床ナンバーが付き、神奈川県のバスから北海道のバスへと華麗に転身、ご当地感を演出するワンポイントに一役買っている。
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