「雪が積もる前から高速が閉まった」「首都高が止まって帰れない」「物流も救急も止まるって本末転倒では?」――都市部の大雪で毎回話題になるのが、”予防的通行止め”です。一見すると「早すぎ」「やりすぎ」に見えるこの措置、実は“立ち往生の連鎖”を断ち切るための切り札でもあります。そこで本稿では、「予防的通行止めって結局なに?」「いつ起きる?」「備えている人も巻き込まれるのはなぜ?」を都市部ドライバー向けに整理。次の大雪で困らないための情報をお届けします。
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トップ画像:くろねこ@Adobestock)、首都高公式Xアカウント
予防的通行止めとは? 「雪が積もる前に止める」新しい雪対策
予防的通行止めは、ざっくり言うと「本格的にヤバくなる前に道路を止めて、もっとヤバい事態を防ぐ」ための通行規制です。ポイントは、事故や立ち往生が起きてから封鎖するのではなく、“起きる前”に封鎖するところにあります。
国土交通省と気象庁の緊急発表では、幹線道路で大規模な車両滞留を回避するために予防的通行止めを行うことがあり、その際は高速道路と直轄国道が同時に通行止めになることもある、と明確に示されています。
つまり、「高速がダメなら下道へ逃げればいい」という従来の発想が通じないケースもある、ということです。
都市部ドライバーにとってここが一番怖いところ。たとえば首都圏の大雪では、首都高だけでなく並行する幹線道路や一般道にも影響が広がり、逃げ道が消えることがあります。
しかもタイミングは“降雪がひどくなってから”ではなく、“降り始める前”や“積もり始める前”。これが「え、まだ走れるのに!?」という違和感につながるわけです。
ではなぜ、そこまで早く止めるのか。理由はシンプルで、雪の高速道路は「一台のミスが、全体を止める」からです。
特に問題になりやすいのが、上り坂や合流部での大型車のスタック、そしてノーマルタイヤ車のスリップ。これが起点になって車列が止まり、後続が積み重なり、除雪車も入れなくなって、結果として長時間の立ち往生が発生します。緊急発表でも、過去の大雪で立ち往生が起き、通行止め解除まで最大で長時間を要した事例が示されています。
つまり予防的通行止めは「交通を止めるため」ではなく、「交通が完全に詰んで救助も除雪もできなくなる事態を避けるため」の“強制リセット”に近い発想なのです。
「備えてるのに巻き込まれる」都市部ならではの不満は正しい
とはいえ、読者の皆さんが感じるモヤモヤも、まったく的外れではありません。「しっかり冬支度をしているのに、まだ積雪もしていない道路を通行止めにされる」――ここは多くのクルマ好きが納得しづらいポイントでしょう。
スタッドレスタイヤを履いていても、チェーンを積んでいても、問答無用で止められる。まるで“優等生も一緒に廊下に立たされる”ような感覚です。
さらに痛いのが、物流や緊急車両への影響です。予防的通行止めが物流網の寸断につながり、ドライバーの待機時間や再配達など実働時間の増加を招いた過去の事例もあります。都市部は“生活の密度”が高いぶん、道路の停止がそのまま社会機能の鈍化に繋がりやすくなります。
このあたりは、単純に「安全のためだから仕方ない」で片づけられない現実です。だからこそ予防的通行止めを実施するなら、解除までのスピード、情報提供のわかりやすさ、代替手段の提示まで含めて「運用の上手さ」が問われます。
ただし、ここでひとつ冷静に見ておきたいのが、都市部の雪は“事故の起点”が多すぎるという事実です。
雪国と違って冬用タイヤ率が高くない。チェーンの付け方が曖昧な人もいる。雪道経験が少ない人が一気に路上へ出てきます。上手い人が100人いても、下手な人が1人いると詰むのが雪の幹線道路。だから運用として「全部止める」が選ばれやすいのも、また現実なのです。









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