近年、自動車保険料の改定が続いています。契約更新のたびに保険料の上昇を実感している方も少なくないでしょう。見直しの相談でよく挙がるのが「免責を設定すれば保険料は下げられるのでは」という話。たしかに、数字だけを見れば合理的な方法ですが、免責は単なる節約項目ではありません。免責の仕組みを理解せずに変更すると、事故後に痛い目に会うことも多いのです。
文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=photostockatinat@Adobestock)
【画像ギャラリー】もしもの時のために保険の内容今一度ご確認を!!(4枚)画像ギャラリー免責とは何か?変更するとどうなる?
免責とは、事故が発生した際に契約者自身が負担する額のことです。たとえば、車両保険で免責を5万円に設定している場合、修理費が20万円かかれば5万円は自分で支払い、残りの15万円を保険会社が負担します。
対人・対物については、相手方への賠償を目的とするため、原則として免責(自己負担額)を設定せず、全額(無制限)で契約します。
ただし、保険会社が保険金を支払わない「免責事由」に該当した場合、自己負担が発生することもあるため注意しましょう。
これには、故意に起こした事故や親族間:(被保険者の配偶者、父母、子)を死傷させた場合、その他: 戦争、暴動、地震・噴火・津波(地震等による対人対物補償を除く)、競技・曲技中の事故などが該当します。
仕組みだけを見ると難しくありません。 しかし、大切なのは「保険料が安くなる代わりに、自分の負担が増える」という部分。免責を上げると保険料が下がるのは、保険会社が支払う金額が減るからであり、言い換えればその分のリスクを自分が持つということになります。
10万円の自己負担って結構重い
免責は理解しているつもりでも、実際の事故では重みが違って感じられることがあります。
例えば、保険料を抑える目的で車両免責を10万円に設定していたAさんは、ある日、駐車場に停車していたクルマに接触してしまいました。
相手車の修理費は対物賠償保険から支払われましたが、自分の車の修理が大きな問題に。自車の修理費は18万円でしたが、車両保険には10万円の免責を設定していたため、10万円が自己負担となり、保険金は8万円の受け取りとなりました。
事故全体で見れば、相手への賠償は保険でまかなわれています。しかし、自車の修理費としてその場で10万円を用意しなければならなかったことが、想像以上に重く感じられたのです。
【画像ギャラリー】もしもの時のために保険の内容今一度ご確認を!!(4枚)画像ギャラリー免責は金額だけでなく免責事由もある
次に、Bさんの対物に関する免責のケースを見ていきましょう。Bさんの息子が、自宅の駐車場で誤ってBさんの車に接触、修理費は約25万円でした。当然、対物賠償で支払われると思っていたところ、保険は使えなかったのです。
その理由は、対物賠償は原則として、第三者の財物が対象であり、同居親族や一定の親族の所有物は補償の対象外となるため。つまり、免責金額の問題ではなく、免責事由(補償対象外)に該当するケースでした。Bさんは、どちらのクルマにも車両保険を付帯していたため、車両保険を使い修理しました。
契約者からすると「対物だから保険が下りるはず」という感覚があります。しかし、自動車保険は「誰に対する賠償なのか」で適用範囲が変わることも覚えておきましょう。これも、一つの「免責」の知識です。
免責事由を確認するために、まずは契約時に交付される約款や重要事項説明書に目を通しましょう。難しく感じる場合は、担当者に「この契約で保険金が出ない代表的なケースは何ですか」と具体的に質問してみるのも有効です。
補償内容だけでなく、支払われない条件を把握しておくことが、本当の意味での契約理解につながります。
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